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タモリも懸念「新しい戦前」は岸田政権の“防衛増額”から始まる! 元自衛隊幹部も「砂糖の山にたかるアリ」「子どもの思いつき」と批判

「砂糖の山にたかるアリ」「子どもの思いつき」「絵に描いた餅」──強烈なツッコミが並ぶが、これが元自衛艦隊司令官の率直な声なのだ。

 そもそも、岸田首相には、この国の安全に対する深い考えがあるとは到底思えない。もとを正せば、「敵基地攻撃能力の保有」も「防衛費GDP比2%」も、言い出したのは安倍晋三・元首相だ。さらに、岸田首相は昨年5月のバイデン大統領との首脳会談で、国内で議論をおこなうこともなく勝手に「防衛費の相当な増額」、ようはアメリカからの武器購入を約束した。つまり、ロシアによるウクライナ侵略に乗じるかたちで、アメリカと自民党最大派閥・安倍派の顔色伺いをやっているにすぎないのだ。

 そして、完全におろそかにされているのが外交だ。国際政治学者の藤原帰一氏は、こう指摘している。

「侵略に対する抑止は必要であるが、抑止に頼る対外政策は戦争の危険を高めるリスクがある。このジレンマがあるからこそ、抑止戦略と並んで外交による緊張緩和の可能性を模索しなければならない」
「外交によって中国や北朝鮮との緊張を打開することは極度に難しい。だが、岸田政権には外交の機会を模索した跡が見られない。抑止力強化に積極的な政権の、そこが危うい」(朝日新聞2022年12月21日付)

こうした指摘は、前出の田中・元外務審議官もおこなっている。

「侵略と敗戦という歴史的な背景をもつ日本は独自の防衛力と日米安保条約で国を守ってきた。日本だけで中国、ロシア、北朝鮮を抑止はできません。常に米国と日本の抑止力のトータルで安全が保たれている。そのうえで周辺諸国を刺激しないよう日本は専守防衛で『盾と矛』の役割分担もしてきた。これからまわりの国々とどう関係をつくり、安保環境をよくするか。そういう外交が見えない」
「『中国に強くあたる』『韓国に強くあたる』という政治家の要請を受けて対外関係をやっているように見えます。『外』と交わることなく国内の意識を外にぶつけているだけです」(朝日新聞2022年12月20日付)

 さらに田中氏は、「私はいわゆる平和主義者ではありません」と述べた上で、「私は戦争を起こさないようにすることが日本の生きる道だと思っている。米国の抑止力を使いながら、地域の脅威レベルを下げることが目標だと思うんです。今の流れはそれに逆行しています」と指摘。「ロシアのウクライナ侵攻が日本の世論に影響している。ハト派と言われた宏池会の岸田文雄首相や公明党がかじを切り、野党もナショナリズムの空気に抗することができない。その間に、日本のビジョンが失われている」と警鐘を鳴らしている。

 外交努力もなく、ただ武力をちらつかせるというやり方で、この国の安全を守ることが可能なのか。しかも、戦後日本のあり方を完全に覆す方針を、国会でまともに審議することもなく閣議決定するなどという暴挙は、けっして許されるものではない。今年を「新しい戦前」にしないために、岸田政権の欺瞞を徹底的に暴き、反対の声をあげていていくほかないだろう。

最終更新:2023.01.03 05:01

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