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タモリも懸念「新しい戦前」は岸田政権の“防衛増額”から始まる! 元自衛隊幹部も「砂糖の山にたかるアリ」「子どもの思いつき」と批判

 他方、政府は「有効な反撃を加える能力を持つことにより、武力攻撃そのものを抑止する」ともしているが、これにも疑問の声があがっている。

 たとえば、12月15日放送の『NEWS23』(TBS)では、防衛ジャーナリストの半田滋氏がこう述べていた。

「中国の場合は弾道ミサイルと巡航ミサイルを合わせて2200発というたくさんのミサイルを持ってるわけです。日本がトマホークを持ったとしても、それは相手の能力を上回るだけにはならないわけですから、抑止が効くかというと、そこは疑問になると思います」

 さらに同番組では、外務省アジア大洋州局長時代に小泉純一郎首相による日朝首脳会談を実現した田中均・元外務審議官も、こう指摘していた。

「私自身、北朝鮮とずいぶん長い間交渉してきて思うんですが、北朝鮮は日本が反撃能力を持ったからといって、日本を攻撃しないという因果関係で動くという国ではない。むしろ日本が反撃能力を持つんであれば、それを上回る能力を持とうというふうに動くんです。それから中国について見れば、圧倒的に大きな物量を持っている。だからこれも抑止力に足りえない」

 さらに言えば、敵基地攻撃能力の保有は抑止力にならないどころか、周辺国に緊張と軍拡競争を生み出す「安全保障のジレンマ」を引き起こすことになりかねない。その上、日本が仮想敵国としているのは中国、北朝鮮、ロシアという核保有国だ。相手国を上回る攻撃能力をとエスカレートさせていけば、行き着く先は核の保有である。

 だが、抑止力だの何だのと政府がいくら正当化しようとしても、この敵基地攻撃能力の保有という政策転換が愚にもつかないことは、岸田文雄首相の発言ひとつでよくわかる。岸田首相は12月16日の会見で、「防衛力を抜本的に強化するということは、端的に申し上げれば、戦闘機やミサイルを購入するということ」などと口にしたからだ。

 戦闘機やミサイルを買えば防衛力の強化になる──。いまどき子どもでもこんなバカなことは言わないと思うが、ようは「武器を買う」ことありきで話が進んできたことが、この発言からもわかるだろう。

 実際、今回の防衛力強化のための防衛費増額に対しては、現場を熟知する自衛隊元幹部からも異論が出ている。

 たとえば、海上自衛隊現場トップである自衛艦隊司令官を務めた香田洋二氏は、朝日新聞2022年12月23日付のインタビューにおいて、「私は防衛費が足りないとずっと言ってきた人間」としながら、こう疑義を呈している。

「今回の計画からは、自衛隊の現場のにおいがしません。本当に日本を守るために、現場が最も必要で有効なものを積み上げたものなのだろうか。言い方は極端ですが、43兆円という砂糖の山にたかるアリみたいになっているんじゃないでしょうか」
「身の丈を超えていると思えてなりません。反撃能力(敵基地攻撃能力)の確保に向けた12式ミサイル(地対艦誘導弾)の改良、マッハ5以上で飛ぶ極超音速ミサイルの開発・量産、次期戦闘機の開発、サイバー部隊2万人、多数の小型人工衛星で情報を集める衛星コンステレーションなど、子どもの思いつきかと疑うほどあれもこれもとなっています。全部本当にできるのか、やっていいことなのか、その検討結果が見えず、国民への説明も不十分です。絵に描いた餅にならないか心配です」
「サイバー部隊も、人員確保に悩む自衛隊で他の部隊の能力を維持したまま2万人も集められるのか疑問です」

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