だが、問題なのは、いまだに反省の色もない杉田政務官だけではない。最大の問題は、このような差別主義者を、適当に撤回・謝罪させて罷免することもなく、総務大臣政務官を続投させている岸田首相にある。
実際、昨日2日の参院予算委員会では、「男女平等は絶対に実現しない反道徳の妄想」という発言の意味を問われた杉田政務官が「(当時の)党を代表しての発言」だったと言い張ったが、岸田首相も一緒になって「内閣の一員になる前の発言。別の党にいたときの発言」などと答弁。挙げ句、杉田政務官について、岸田首相は「職責を果たすだけの能力を持った人物と判断した。政府の方針に従って職務に専念してもらう」などと言い、更迭を拒否したのだ。
これだけの差別言辞を垂れ流してきた杉田氏を、「職責を果たすだけの能力を持った人物」などと評価する岸田首相──。しかし、それも当然なのかもしれない。というのも、岸田首相の“ブレーン”だと囁かれているのが、杉田政務官と近い小川榮太郎氏だからだ。
小川氏といえば、熱心な安倍応援団のひとりであり、杉田氏の「LGBTには生産性がない」発言を“性的マイノリティを認めるなら痴漢の触る権利も保障せよ”なるヘイトの上塗りで擁護した人物だが、「週刊文春」(文藝春秋)は今年9月、「岸田氏にとって小川氏は、安倍氏を支持してきた右派の中では、ほぼ唯一と言っていい“ブレーン”」だと伝えている(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2022/09/post-6229.html)。
そして、この小川氏は、11月25日に自身のFacebookで、12月15日に開催されるという「衆議院議員杉田水脈さんを育てる会」の告知を投稿。そこでは、このような杉田政務官への応援メッセージを寄せている。
〈みんなで杉田水脈議員の応援の輪を広げよう!
選挙のたびに安倍晋三先生が死守した杉田さん。
他の自民党重鎮たちは、杉田さんが目障りで仕方がない。
イデオロギーで叩かれる存在は自民党の大概の連中にとっては邪魔なんです。公認を渋る執行部を叱責して杉田さんの議席を守ったのは安倍氏その人でした。私はその実態を詳細に知っている。
イデオロギーと本気で戦う政治家は、安倍さんと杉田さんしかいなかった。巨木である安倍さんが倒れたあと、杉田さんの議席と社会的名誉を死守するのは、私たち保守の責務だと信じます。〉
平然と歴史修正主義と差別を振りまく杉田氏を、自ら自民党に引き入れ、中国ブロック比例名簿実質1位で当選させた安倍晋三・元首相。そして、熱烈な安倍応援団を自身のブレーンに重用し、安倍元首相亡き後、よりにもよって杉田氏を総務大臣政務官に抜擢した岸田首相。つまり、政治が差別を是認するという異常な状況を生み出した「安倍的なるもの」は、こうして脈々と岸田政権にも根を張っているのだ。
差別主義者をのさばらせ政務官に据えつづける、岸田首相の判断を看過することはできない。即刻、杉田氏を政務官から更迭するのはもちろん、いまだ安倍氏の極右差別主義思想に縛られ続けているこんな総理大臣は一刻も早く、権力の座から引きずり降ろさなければならない。
(編集部)
最終更新:2022.12.05 01:58