まったくゲスの極みとしか言いようがないが、しかし問題はこれだけではない。ネット上では「業者による中抜きがおこなわれるのではないか」と懸念する声があがっているからだ。
というのも、大阪市では経済的にゆとりのない世帯の中学生を対象に月1万円まで塾代を助成しており、最近も対象を小学5・6年生に拡大すると発表。吉村知事は松井市長と維新の成果だと誇っていたが、2020年度の塾代助成の事業費が約15億円だったのに対し、運営業務を担う民間事業者に対する事務費はなんと約5億円。今年度も事業費約24億円に対し、事務費は約6億円となっている。つまり、予算の3〜4分の1が委託先の事業者に流れてしまっているのだ。
また、吉村知事は今年7月以降、18歳以下を対象に1人1万円のQUOカードPayを配布しているのだが、府議会で利用実績について質問された際、府は「事業者と協議したが、企業秘密にあたるので提供できないと回答があった」と回答。さらに、ギフト券の利用期間は3年だが、〈使われなかった金額は府には返還されず、事業者の利益となる〉(毎日新聞10月16日付)というのだ。
血税を使っておきながら、この杜撰さ……。そもそも吉村知事といえば、岸田政権が昨年18歳以下に現金とクーポンで10万円相当を給付する施策を打ち出し、現金での一括給付より事務経費が900億円も高くなることが判明した際、「完全な愚策だ。やめてもらいたい」「現金10万円の一括給付にして900億円は経済的に厳しい人に給付するほうがいい」「みなさんの税金を使うのに納得感が得られない。考えなくてはいけないのはどれだけ財源を使っているのかという感覚だ」などと批判していた。だが、維新府政・市政では、巨額が事務費に費やされ、イメージアップが図りやすい「子育て支援」を声高に叫ぶ一方、経済的に厳しい人々への支援が捨て置かれてしまっているのだ。しかも、その子育て支援も選挙対策のバラマキなのはミエミエだ。
コロナで全国最多の死者を出している事実だけでも吉村知事および維新政治の失敗は明らかだが、くれぐれも大阪府民は米10キロ程度で騙されることのないよう、来たる選挙では賢明なジャッジを下していただきたい。
(編集部)
最終更新:2022.11.29 07:57