電通公式サイトより
東京五輪をめぐる汚職事件で、ついに“本丸”の関与を物語る証言が飛び出した。“本丸”とは、ほかでもない竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)前会長のことだ。
19日、社長らが逮捕された広告業界3位のADKホールディングスの東京五輪参画をめぐって、東京五輪大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者から「ADKからの資金は竹田氏に回す」などと言われたことを電通幹部が説明していると産経新聞が報じたのだ。
ADK前社長の植野伸一容疑者らは、高橋容疑者にADKが東京五輪のスポンサー契約業務などを担う「販売協力代理店」に選定してもらえるよう依頼し、その後、高橋容疑者は駐車場大手で竹田JOC前会長が社外取締役を務めていた(本日辞任)パーク24のスポンサー契約業務をADKに割り振ったと見られている。
そして、産経によると、ADKがパーク24の契約に関与する前に、高橋容疑者は電通の五輪担当室長らと面会。その席で高橋容疑者が「(パーク社の社外取締役でもある)竹田氏の尽力でパーク社のスポンサー契約が決まった」「ADKからの資金は竹田氏に回す」という趣旨の説明をおこなった、というのである。
ADKはパーク24の契約によって約4000万円の報酬を得ており、その半分にあたる2000万円を2018年12月に高橋容疑者側へ送金。東京地検特捜部はこの送金を高橋容疑者に対する賄賂だと判断しているが、電通幹部の証言が事実であれば、この金が竹田JOC前会長に流れた可能性があるのだ。しかも、産経によると〈特捜部は電通幹部の供述と同内容のメモを電通側から押収〉しているという。
竹田氏といえば、2019年6月まではJOC会長であるだけでなく組織委の副会長でもあった。また、2018年に竹田氏は「一般社団法人竹田事務所」を設立しており、この事務所が何らかの報酬を受け取るための受け皿になっていたのではないかと噂されてきた。
さらに、竹田JOC前会長と高橋容疑者は小学校から大学まで同じ慶應で、竹田JOC前会長の3つ上の兄と高橋容疑者は同級生ということもあり、若いころから両者は親しい関係にあった。竹田氏がJOC会長に就任した際も高橋氏が工作をおこなったという話もあるほどの仲であり、高橋氏が組織委理事に就任したのも竹田氏の強力なプッシュがあったからだともいわれている。
その高橋氏は理事という立場を利用して私腹を肥やしてきたと見られているわけだが、そうした賄賂の金がJOC会長・組織委副会長にまで流れていたとすれば「史上稀に見る、汚れた金にまみれた東京五輪」と呼ぶほかない。