たとえば杉田氏は、2019年4月に熊本県でおこなわれた「青少年育成と父母の役割を学ぶ集い」に講師として参加したが、この講演を主催したのは「KPF社会教育委員会」(一般社団法人熊本ピュアフォーラム)なる団体。この熊本ピュアフォーラムの事務局長は「国際勝共連合の熊本県本部代表者」であるとジャーナリストの鈴木エイト氏が指摘しており、さらに同団体の代表理事は、安倍晋三・元首相がビデオメッセージを贈った天宙平和連合(UPF)の関係組織である「熊本県平和大使協議会」の副議長を務めている。こうしたことから、しんぶん赤旗は〈旧統一協会の別動隊「国際勝共連合」と関係が深い団体〉と報じている。
だが、杉田氏は、7月20日に自身のブログで、この団体が統一教会・家庭連合のダミー団体とは〈存じ上げません〉とし、〈現在においても当該団体がご指摘のような「統一教会・家庭連合のダミー団体」であるという事実は確認できておりません〉と記述。総務政務官に抜擢されたいま現在も関係を認めていないため、メディアで報道されている「副大臣・政務官で統一教会と接点があったと認めた20人」には含まれていないのだ。
しかも、杉田氏の場合、関係を否定するばかりか、統一教会と関係を持つことを開き直ってさえきた。
杉田氏は、2016年にアメリカ・ニューヨークでおこなわれた「このままでいいのか、日本!」なるイベントに参加したが、このイベントの主催や会場をめぐって幸福の科学や統一教会との関係が指摘され、「幸福の科学と統一教会の奇跡のコラボ」だと呼ばれていた。すると、杉田氏はSNS上で、こんな反論をおこなったのだ。
〈私は日本会議の会員ですが、幸福の科学とは何の関係もありません。統一教会もです。支援してくださる方や今回の講演会に来られる方の中に信者の方がいらっしゃるかもしれませんが、それはわかりません〉(Facebook/2016年8月5日)
〈幸福の科学や統一教会の信者の方にご支援、ご協力いただくのは何の問題もないのですが、どうしても宗教団体の名前が出ると日本国内では過敏に反応して「バックに宗教団体がいるでは」と言った憶測が飛び交い、苦情や問い合わせが事務所にあります。ので、その都度このように否定します。〉(Twitter/2016年8月6日)
反社会的団体である統一教会の信者から支援・協力を受けることは「問題ない」と言い切る──。しかも、宗教右派と深い繋がりを持ってきた杉田氏ならば、信者が個人として支援するのではなく、数々のダミー団体を通して政界とのパイプを持とうとしてきたことはよく知っていたはずだ。それを杉田氏はこのようにすっとぼけ、正当化してきたのだ。
それでなくても、杉田氏がおこなってきた性的マイノリティや女性に対する差別発言は、統一教会をはじめとする宗教右派の主張とそっくりなものだ。そして、反社会的団体である統一教会との接点を指摘されながら、このように開き直り、正当化してきた。そんな人物を、このタイミングで総務政務官に抜擢すれば、どうなるか。ネット上では〈#杉田水脈氏の総務政務官起用に抗議します〉というハッシュタグがトレンド入りしているが、このような反発が起こることは、岸田政権も十分予想できたはずなのだ。