テレ朝で起きていた異常な“統一教会報道圧殺”。その原因を探るために、複数のテレ朝関係者に取材してみると、案の定、上層部からの一方的な報道中止指示があったことがわかった。
まず、『モーニングショー』への圧力は、18日、有田芳生氏が発した「政治の力」発言がきっかけだった。この発言は、前述のように、Twitter上でも「政治の力」がトレンドワード入りするなど大きな話題になったが、すると、その日のうちに、統一教会の取材に動く現場スタッフに、プロデューサーから「上から指示があった、しばらく統一教会問題はやらない」とストップがかかったのだという。
「トーンを落とす、とかそういうレベルではなく、一切やるな、ということだったようです。実際、『モーニングショー』の現場は、翌日も有田芳生氏に出演してもらうつもりでスケジュールをおさえ、特別取材班がいくつもネタを仕込んでいた。ところが、それをすべてナシにしろといわれ、統一教会とは何の関係もない話題に差し替え。有田氏にも『別の企画をやることになったので』と、急遽キャンセル連絡を入れさせられたらしい」(テレビ朝日関係者)
現場には、報道取りやめの詳しい経緯や理由は一切説明されず、厳しい箝口令が敷かれているというが、取材を進めると、今年6月に同局社長に就任したばかりの篠塚浩氏の「ツルの一声」で報道取りやめが決まった、という情報が複数から寄せられた。
たしかに、篠塚社長といえば、報道局長時代から、安倍元首相とべったりだったテレ朝の“ドン”早河洋会長の腰巾着的存在で、安倍官邸の意を受け、早河会長の名代として、報道現場に露骨な圧力をかけてきたことで知られている。
『報道ステーション』の政権批判つぶしはもちろん、2017年5月24日には、早河会長や政治部長の伊井忠義氏(当時。現・報道局次長)らとともに安倍首相と3時間にもわたり会食。その後、現場に「政府の言い分も報道しろ」などと指示をした疑惑が報じられた。
実際、この会食の少し後から、『報ステ』や『モーニングショー』では、当時、大きな問題になっていた加計学園問題をほとんど取り上げなくなった。
また、2017年夏の都議会選前には、上層部から“自民党と都民ファーストをクローズアップするよう”との社内メールが回っていたことが発覚したが、このメールの送信者も篠塚氏の腹心だった。
ほかにも、老後2000万円問題で、当時の財務相・麻生太郎氏を厳しく追及した経済部長を更迭したり、世耕弘成参院幹事長の言いがかりとしか思えない抗議に『報ステ』が全面謝罪した件も、篠塚氏の主導だといわれた。
「テレビ朝日の政権擦り寄りはもちろん早河会長から始まったものですが、篠塚社長の政権への忠誠ぶりと、現場介入のやり方は早河会長以上に露骨で強権的ですから」(テレビ朝日関係者)
そういう意味では、今回、『モ―ニングショー』に対して、篠塚社長自らが介入したのではないかという見方が出るのは当然だろう。