そもそも、ロシアによるウクライナ侵略の開始後から、安倍晋三・元首相を筆頭にこの国の国会議員からは「核共有」論だの非核三原則の見直しだの原発再稼働だの、侵略戦争をダシにした火事場泥棒の主張が横行してきた。そして、ついには憲法審査会においても、山東議員のような「国民は命をかけて国を守れ」と言わんばかりの主張が繰り広げられる状況になっている。
実際、ネトウヨ議員のひとりである自民党の山田宏・参院議員は、ゼレンスキー大統領の国会演説がおこなわれたのと同じ23日に開かれた参院憲法審査会において、「ウクライナのような事態に直面した時に(日本は)国を守れるのか。丸腰になれば攻める国はないという現実離れした主張も繰り返されてきた」と言い、「自分たちの国は自らが守る」ことを示すために自衛隊を憲法に明記すべきだと主張。
さらに、同じく自民党の西田昌司・参院議員は、「日本の文化で一番大事なのは教育勅語に書いてある家族主義、家族と伝統を大事にすることだ」などと言い出した。あらためて指摘するまでもなく、教育勅語は親孝行などの徳目だけではなく、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」(国家のために勇気をもって身命を捧げ、永遠に続く天皇の勢威を支えよ)とも説くものだ。天皇を崇拝させることで市民を無謀な戦争に駆り立てた、大日本帝国の軍国主義思想の根幹そのものだ。
ウクライナの惨状を目の当たりにして、ロシアに対する制裁強化やこれまでの対ロシア外交の総括やウクライナの人道支援に動くでもなく、他国の危機に乗じて「国民は自分で自分の国を守れ」「国を守るために命を捧げろ」と自説を主張する極右国会議員たち──。いまわたしたちが痛感すべきは、こうした国民の命を命とも思わない国会議員を選挙で選んではいけない、ということだろう。
(編集部)
最終更新:2022.03.25 11:06