八代弁護士「共産党デマ」発言だけではない! 恵は維新・松井の野党ウザ絡みをアシスト、番組ぐるみで野党ディス
2020年の「御用ジャーナリスト大賞」でも4位にランクインした『ひるおび!』(TBS)だが、2021年の同番組も、司会の恵俊彰とレギュラーの八代英輝弁護士を筆頭に番組として政権への御用ぶりが全開となった。
とくにひどかったのが、東京五輪の強行開催から菅首相の失脚、自民党総裁選にいたる報道ぶりだ。
まず、東京五輪の開会式直前の7月23日にはサッカーやソフトボールの日本チームの活躍、ブルーインパルスの中継に大はしゃぎし、開催期間中も新型コロナの感染状況や医療問題はほとんどそっちのけで金メダルラッシュの五輪の礼賛報道を繰り返した。しかも、五輪強行開催を基点に感染状況が悪化して自宅死が続出したというのに、菅首相がコロナ対策を放り出して権力闘争に明け暮れていることを徹底批判することもなく、9月に入ると自民党の党内政局に丸乗り。総裁選の告示もまだされていない状況で出馬に意欲を示している岸田文雄と高市早苗を生出演させる始末だった。
しかも、そうして総裁選報道に明け暮れて自民党のPR機関に成り下がる一方、とんでもないデマ発言まで飛び出した。八代弁護士が9月10日放送で発した「共産党はまだ『暴力的な革命』というものを、党の要綱として廃止してませんから」「よくそういうところと組もうという話になるな、というのは個人的には感じますね」という発言だ。
当時、本サイトでも言及したように、そもそも日本共産党の「綱領」には「暴力的な革命」などという文言は一切なく、八代弁護士の発言は完全なデマ。そのため、13日には局アナがこの点について番組内で訂正・謝罪したが、ところが八代弁護士は「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした」などと謝罪のフリをしながらデマを上塗りするような姑息な対応をとったため、八代弁護士と『ひるおび!』に対する批判はますます高まり、TBSや番組スポンサーにも抗議の声が殺到。番組スポンサーの一つであるキユーピーがCM放映を休止する事態に陥り、17日の放送で八代弁護士が“2度目の謝罪”をすることとなった。
当時、れいわ新選組の山本太郎代表がこの八代発言の共産党デマ攻撃の背景について、「まともな仕事をされている共産党に対して、ジャマな存在だということをああいう形で嫌がらせするっていうのは、ちょっと確信犯に近いだろうなと思います」「だって今、政治の世界のなかで反社って言ったら、自民党と維新でしょ」と喝破していたが、ようするに八代弁護士および『ひるおび!』はあきらかに「野党共闘に水を差す」という自民党政権の意向に乗っかったデマを喧伝したのである。
だが、驚くべきことに『ひるおび!』はその後もひどかった。デマ発言問題を取り繕うためなのか、10月5日放送では野党4党の幹部の生討論をおこなったのだが、日本維新の会・松井一郎代表が立憲民主党の福山哲郎幹事長(当時)や日本共産党の小池晃書記局長にウザ絡みを続けたせいで1時間近く討論の時間を取りながら各党が自党の政策についてまともに語れたのは討論終了間際、4党合わせてわずか8分程度。
しかし、ひどかったのは松井氏だけではなく、番組構成と進行自体が“野党下げ”のために仕掛けたのかと言いたくなるようなもので、とにかく最初から安倍・菅政権の問題点の検証もなく、各党の政策をろくに語らせることもせず、司会の恵の質問も「どう組むか」に終始。討論中、画面右上には「野党4党候補者一本化へ 衆院選での選挙協力可能?」というテロップも出ており、野党共闘に水をさすことを意図しているとしか思えないものだった。実際、松井氏が野党共闘ディスを始めたのも、番組がわざわざ「選挙目当ての野党談合にしか見えない」という松井氏の発言をフリップで紹介。これについて司会の恵が松井氏に発言を促したのがきっかけだった。ようするに、松井氏のウザ絡みはハプニングではなく、番組側が共犯的に仕掛けたものだったのだ。事実、この日の『ひるおび!』はその後も野党ディスに終始した。
そんななか、ひとり正論を吐いたのがお笑いコンビ「フォリーンラブ」のバービーで、「お一人ずつちゃんと聞けたほうが(良かった)。この間の(自民党)総裁選のときは、お一人ずつ聞けたじゃないですか」「この間の一人ひとりよりも時間が少ないのはちょっともったいないなって。報道の仕方として、という意味で」と番組の野党に対する不公平な扱いを毅然と指摘。しかし、恵は「そうですね、次の機会にそれができればと思いますが」とお茶を濁して話をシャットダウン。バービーの発言後も番組はまた野党に批判的な街の声を紹介したのだった。言うまでもなく、後日にちゃんと話を聞く次の機会が設けられることなどないまま。
このように、政権御用の田崎史郎を出演させるだけではなく、恵の番組進行や八代弁護士のデマ発言まで織り交ぜながら番組ぐるみで「野党共闘は選挙目当ての野合」「野党は批判ばかり」という印象を植え付け、自民党政権を利する報道を繰り返してきた『ひるおび!』。最近では維新を持ち上げるような報道も目立ってきているが、今年もこうした権力監視の使命を放棄した番組が野党を弱体化させることに必死になるのだろう。