いや、それだけではない。記者から「オミクロン株の市中感染が明らかになり、たとえば学校や施設関係、市中感染を疑った場合に、これまでよりも広範な検査などの方針強化をする予定はあるか」と質問されると、吉村知事は「それはもうすでに実行しています。濃厚接触者でなくても検査を広くする方針を僕もつねに判断してますし」「先程申し上げたとおり、学校の先生だけじゃなくて濃厚接触者じゃないだろうという生徒も全員検査に含めています」と、またも手柄の横取りのような発言をおこなった挙げ句、記者から「寝屋川市は以前からPCR検査、拡大検査に積極的な市町村だったと思うが、そういった検査に対する前向きな姿勢自体が今回のオミクロンの早期発見につながったという考えか」と尋ねられると、吉村知事はこう答えたのだ。
「いや。これは、今回の市中感染の方は、自らが発熱が出たので通常の検査に行かれて、そこでデルタのマイナスとわかったので、その日のうちにゲノム解析をしたということになるので。そこはあまり関係ないかなと思っていますね」
ようするに、吉村知事は寝屋川市の独自方針のもとで実施された全校児童への検査を「最終的には僕が判断」などと語ったばかりか、幅広くPCR検査を実施してきた寝屋川市の取り組みを評価することもなく、今回オミクロン株をキャッチしたことも「寝屋川市は関係ない」と否定したのだ。
何かあると「僕が」「僕が」と自己アピールを繰り広げる吉村知事に対し、ネット上では「僕村」というニックネームが付けられてきたが、この発言はいかにもそれを象徴するものだろう。
だが、吉村知事の問題は、この手柄の横取りだけではない。吉村知事はオミクロン株の大阪府内での市中感染が判明した22日の会見で、現在実施中の「大阪いらっしゃいキャンペーン2021」について、「このたび兵庫、京都、奈良、和歌山と同意をいたしまして、近接府県に広げるということになりました」と発表。このキャンペーンはワクチン接種者あるいは検査で陰性であったことを証明すれば府内で宿泊・日帰り旅行をすると料金が最大5000円割引、最大3000円のクーポンが付くというものなのだが、ブレイクスルー感染が増加していることを考えれば安全とは言い難く、昨年の「GoToキャンペーン」同様、感染拡大を助長しかねない施策だ。しかし、23日の夕方におこなわれた会見でも、吉村知事は「感染状況を見て知事として適切な時期に判断したい。いま何か中止する判断はない」と断言したのである。
府民には「オミクロン株の市中感染がある前提で対策を」と呼びかけながら、旅行促進のキャンペーンはやめない──。この反省なき吉村知事の態度は、どんな結果をもたらすのか。不安は募るばかりだ。
(編集部)
最終更新:2021.12.24 09:46