一体どうしてこんな馬鹿なデータの使い方をしているのかと思って、大阪と東京の高齢者の実数を調べてみたところ、吉村知事の説明がゴマカシどころか、真っ赤な嘘であることがわかった。
最新のデータになる2015年の総務省「国勢調査」人口等基本集計によると、60代以上の人口は、東京都が373万828人であるのに対し、大阪府は280万9986人。つまり、大阪のほうが高齢者は約93万人も少なかったのだ。
吉村知事がしきりに強調してきた「3世代同居」も同様だ。これも「同居率」をやたら強調しているが、「3世代同居の世帯数」で計算する必要がある。ところが、「国勢調査」の世帯構造等基本集計によると、3世代世帯数は東京都が12万1249世帯であるのに対し、大阪府は11万1813世帯。やっぱり大阪府のほうが東京よりも約1万世帯も少ないのである。
では、「高齢者施設が東京よりも多い」というのはどうか。朝日新聞の報道によると、〈厚生労働省のまとめでは、府内には特別養護老人ホームや訪問介護事業所などの高齢者施設が約2万事業所ある。東京都を約400カ所上回り、全国で最も多い〉というが、2019年の厚労省「社会福祉施設等調査」「介護サービス施設・事業所調査」で挙げられている養護老人ホームや有料老人ホーム、介護老人福祉施設、居宅・介護予防サービス事業所などの数を割り出したところ(介護用具貸付事業所などは除く)、東京都が2万803カ所であるのに対し大阪府は2万1638カ所と、たしかに大阪のほうが施設数は多い(わずかだが)。
だが、これらの施設の在所者および利用者数を割り出して比較すると、東京都が95万5413人であるのに対し、大阪府は87万2682人。東京のほうが施設在所者・サービス利用者は多いのだ。高齢者人口が大阪より東京のほうが約93万人も多いことを考えれば、当然だろう。
つまり、吉村知事は死亡者が東京より大阪のほうが多い理由として挙げてきた「高齢者が多い」というのは、コロナ死亡者の多さを説明できるものではないばかりか、すべて嘘だったのである。
では、吉村知事は一体何のためにこんなフェイクまがいの手口を使ってまで、「大阪は高齢者が多い」ことをアピールしたのか。答えは簡単だ。大阪の死亡者の多さが自分の失政のせいだと追及されるのを回避するためだ。