しかも、維新がひどいのは、こんな無理やりな野党叩きに血道をあげながら、自分たちの政策に関する主張は、空疎としか言いようがないことだ。
先の吉村・足立対談でも、ほとんどは足立氏の暴言称賛と野党叩きだけで具体的な政策は見当たらない。他の幹部の主張も同様だ。SDGsブームに便乗してか「持続可能な社会」を掲げているが、中身は聞き飽きた「様々な改革」「身を切る改革」の繰り返し。
さらに怪しいのは、経済対策として打ち出した「全国民月額6〜10万円」という政策だ。松井代表は『news23』(TBS)の党首討論でコメンテーターの星浩氏から「維新がいつも言っている行革とか歳費の削減では到底まかないきれない」として財源について突っ込まれると、なんとこんな答えをしていた。
「これはあの、給付しますけども、その部分は所得に換算されますんで、まずはチャレンジできるように生活を守る、給付しますけれども、そのうちの7割近くはのちに税でまた税収として上がってくる部分ですから、全体の約2割から3割の財源を確保すればいいと思っています」
7割近くが税として返ってくる? なんでそうなるのかまったくわからないし、そうなったとしたら、逆に何のための給付なのか、という話だろう。それこそ給付にかかるコストが無駄になるだけじゃないか。
また、松井代表はこのとき、国債の発行を否定したうえで、こう続けていた。
「まずは役所の仕事を徹底的に改革を見直してきた。それから、役所の仕組みと制度、あまりにも昭和の時代のままのものを変えてきた。この形のなかでね、大阪だけでも、府市合わせて、3000億、預貯金を、基金を積み上げてきた。こういう形を全国で広げていく。まずは昭和の制度を令和に合わせて作り変える。我々はこれをやれば財源確保できると思います」
「役所の仕事を徹底的に見直してきた」って、大阪は維新府政によって、行政サービスを削りに削った結果、コロナで全国ワーストの死者を出したのではないか。それを反省するどころか、「全国で広げていく」って。
松井代表は『報ステ』で、「持続可能な社会」をスローガンに、「社会保障の拡充をしなければならない」とまるで社会保障を拡充するかのように言っていたが、維新が主張している「社会保障制度の抜本的見直し」というのは、結局、公的サービスを削ることなのだ。
維新の議員らは度々、高齢者やALS患者など難病患者について、「命の選別」を肯定する発言をしているが、維新の言う「持続可能」は、一人ひとりの国民の生活を持続可能にすることではなく、維新とお仲間の新自由主義者たちの権益を「持続可能」にすることなのではないか。そして、既得権益者のおこぼれをもらうため、利権を拡大するために、自党の政策をアピールするより、自民党の補完勢力として野党叩きに精を出ているのではないのか。
しかし、恐ろしいのは、冒頭で言ったように、こんな政党が今度の衆院選で議席を3倍増に伸ばすのではないかと予想されていることだ。いったいこの国はどこにいこうとしているのだろうか。
(編集部)
最終更新:2021.10.21 06:41