ワクチン供給のためのシステムづくりなど二の次で、こうした若者ウケを狙うようなパフォーマンスにばかり力を入れてきたわけだが、河野大臣らは前述のように、その理由を“若者がワクチンを打ちたがっていない”ためであり、“打ちたがらない若者に打たせるための啓発活動”としてきた。
しかし、これってほんとうに他の仕事を放り出してまで取り組むようなことだったのか。
「若者がワクチンを打ちたがっていない」というのは当初からメディアでも大合唱されてきた話だが、じつは、26日の東京都のモニタリング会議で公表されたアンケート結果によると、「接種しない」と回答したのは20代では男性19.0%、女性18.8%、30代では男性16.7%、女性19.1%と、2割にも届いていないからだ。たしかに、50代男性の12.1%や40代女性の10.5%と比較すると多いが、「若者はワクチンを打ちたがっていない!」と言えるほどの数字ではまったくない。
何よりそのことを証明しているのが、冒頭でも触れた東京・渋谷の若者向けワクチン接種で出現した長蛇の列だ。これ、たんにやり方が下手というだけの話ではない。
本日の若者向け接種は「抽選券を現地配布」というミレニアル世代・Z世代には理不尽極まりないものであったにもかかわらず、受付終了の10時30分までに2226人が並んだ。当選者はわずか354人だったというから、その倍率は6.28倍。6人に1人しか打てないということだ。
菅政権は「若者はワクチンを打ちたがっていない」と必死に喧伝し、さらには若者の意識が低いばかりに感染を広げているといったように扱ってきたが、起きている事態は真逆で「打ちたがっている若者に打たせるワクチンがない」のである。
しかも、これは当の河野大臣も認めている事実だ。20日の会見で「若い世代は自治体による接種で打つにはもう少し時間がかかるかもしれない」と語っていたからだ。