しかも、小池都知事は感染爆発によって医療崩壊一歩手前まで状況を悪化させながら、安倍前首相よろしく、姑息な手段に出ている。それは、あきらかに「露出」を控え、都合の悪い数字が出る前にトンズラしていることだ。
本来であれば、東京五輪の開催期間中であるにもかかわらず3000人超えという過去最多の新規感染者数を出してしまったのだから、緊急会見を開いてお得意の「パネル芸」で危機的状況であることを都民に訴えるべき局面だ。ところが、小池都知事は昨日28日も会見は開かず、退庁時にたったの30秒、報道陣の取材に応じただけ。「不要不急の外出を控えてください」だの「きょうも三村(明夫)東商会頭とテレワークの徹底をお願いした」だのと言い残して立ち去ったのだ。
しかも、問題はその退庁時刻。小池都知事が東京都庁をあとにしたのは、16時30分ごろ。東京都がその日の新規感染者数などの数を発表するのは16時45分だ。つまり、数字が正式発表される前の時間を狙って退庁したとしか考えられないのだ。
これは2848人と過去最多を更新した27日も同じ。小池都知事は同日の新規感染者数が発表となる前の15時ごろに退庁しており、吉村憲彦・福祉保健局長が取材対応をおこなっていた。
その上、この吉村局長の説明も酷いものだった。吉村局長も小池都知事と同様、高齢者の重症患者が減っていることなどを強調。さらには報道陣に対してこう“恫喝”をかけたのだ。
「医療提供体制がにっちもさっちもいかなくなって、死者がばたばた出ることは現状ないと思っている。いたずらに不安をあおるようなことはしていただきたくない」
「いたずらに不安をあおるな」って、ワクチン接種が進んでいない40〜50代の重症化や、中等症の患者の増加など、あきらかに医療が逼迫状況にあるいまの東京は不安だらけではないか。しかも、吉村局長は東京五輪が現在の感染状況に与えている影響について問われると「大きな影響を与えているとは思っていない」と発言。吉村局長は以前、東京五輪組織委大会準備運営局次長を務めていた人物だが、五輪をかばうために、都が置かれている危機的状況を見ないようにしているとしか思えない。
しかし、この吉村局長の“恫喝”も、都庁担当記者の間では「明らかに小池都知事の意向だろう」という認識が一般的だ。
実際、小池都知事といえば、西村康稔・経済再生相が酒類提供停止に応じない飲食店に対して金融機関を使って圧力をかけようとした際にも、当初は「思いは私も同じ」「現場を担う者としては動きやすくなる、また(飲食店を)説得をしていただきやすくなる」などと同調、違法の恫喝行為を後押ししていた。にもかかわらず、その後、西村大臣の発言に批判が殺到すると、今度はダンマリを決め込んだ。
恫喝体質を隠さず、都合が悪くなると何事もなかったように知らんぷり。メディアに対して「いたずらに不安をあおるな」と脅しをかけたのも、自分の手を汚したくなくて役割を部下に押し付けた。そんなところだろう。