東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイトより
東京五輪の「学徒動員計画」に対して、東京近県の市区町村や学校からのキャンセルが相次いでいる。神奈川県では、22日、厚木市、綾瀬市など計6市5町が対象者全ての観戦中止を決め、埼玉県でも、22日、配布希望のあった8万6866人の枠のうちの約70%にあたる6万4859枚のキャンセルを受け付けたと発表している。
当然だろう。周知のように、この「学徒動員計画」は正式には「学校連携観戦」と名付けられているが、実態は、都や近県の幼稚園児や小・中・高校生を東京五輪の観戦に強制的に駆り出そうというもの。しかも、東京都が都内の各学校に送付した「観戦の日程案」によると、感染対策はまったく提示されておらず、「競技場への移動は電車やバスなど公共交通機関を使え」といった指示があった。
ようするに、五輪の有観客開催でコロナ感染再拡大が叫ばれているなか、もっともリスクの高い場所に、子どもを無防備なまま送り込むというとんでもない計画なのだ。
だが、この事実を「しんぶん赤旗日曜版」がスクープし、続いてリテラが取り上げると、ネットで批判が殺到。マスコミはほとんど報じなかったものの、組織委はキャンセルできることを通知せざるをえなくなった。
東京都が5月末、送付した「学校連携観戦チケットに係る今後の対応について」という文書には、6月1日〜23日までを〈チケットの追加キャンセル受付期間〉、6月24日を〈支払い期日〉と明記されていた。
これは、6月23日までなら、キャンセルを受け付けるという通知であり、神奈川県・埼玉県などがこれを受けて、市町村や各学校にキャンセル確認を行なった結果、冒頭で紹介したようなキャンセル続出が起きているというわけだ。
しかし、神奈川・埼玉両県でキャンセルが出ているからといって、安心するのはまだ早い。両県でもキャンセルしていない自治体や学校があるのはもちろん、もっと問題なのは、子どもの動員数の割り当てが桁違いに多い東京都の対応だ。東京都ではなんと、市町村や学校に対してキャンセルするか否かの意向確認をおこなわず、このキャンセル受付の文書自体、区市町村に通知さえしていないのだ。
「しんぶん赤旗日曜版」6月20日号の取材に対し、〈都は、組織委から文書が届いていることを認め〉つつ、〈「参考送付」であるとして、区市町村には通知していないと回答〉している。
しかも、この事実が報じられたあとも、東京都は通知を頑として行わなかった。21日、共産党都議団が学校連携観戦の中止を要請した際も、スケジュールの公開とキャンセルの周知を求めたが、都の担当者は「事実確認を行う」としただけで、なんら対応をしなかった。
そして、そのまま23日の受付締め切りまで、このキャンセル受付通知を握りつぶしてしまったのだ。