ザルぶりを裏付ける話はまだある。NHKの報道によると、海外メディア関係者の宿泊先のひとつとなっている東京・日本橋のホテルでは当然ながら「14日間隔離」を終えた人を受け入れるのだとばかり考えていたが、最近になって説明に訪れた組織委の担当者はこんな説明をおこなったというのだ。
「3日間は基本的にホテルの部屋で待機し、4日目以降もホテルと競技会場など認められた場所の往復のみで、14日間が過ぎると自由に行動できるようになる」
「4日目以降はホテルの従業員などが部屋の清掃に入ってほしい」
このケースが「3日間隔離」への対応なのか、それともこの対応で「14日間隔離」としようとしているのかはわからないが(もしこれで「14日間隔離」と言うのなら大問題だ)、ホテル側は「入国後14日間の隔離は別の場所で行われると考えていて、来日直後から宿泊を受け入れるとは思っていなかった」といい、組織委のこの説明には従業員からも不安の声があがっているという。当然だろう、こんな対応では受け入れた海外メディア関係者がコロナに感染していた場合、ホテルの従業員も感染リスクに晒されることになる。組織委も政府も、一体何を考えているのだろう。
このように、「安全安心の大会」「感染防止対策に万全を尽くす」という菅首相の言葉がいかに嘘っぱちであるかは、開催前からすでに明らかだ。にもかかわらず、菅首相の強引な強行開催論を前に、国民のあいだでは「どうせやるんでしょ」という諦めからの五輪開催容認論が広がりつつある。だが、こんな穴だらけの対策しかとれない政府や組織委の言うままに東京五輪が実施され、感染拡大が起こったとき、命の危険に晒されるのはわたしたち市民なのだ。そのことをゆめゆめ忘れてはいけないだろう。
(水井多賀子)
最終更新:2021.06.16 10:16