国内外の専門家たちや海外の有力紙が開催中止を求めているように、大会を実施すること自体がハイリスクなのは明々白々だ。なのに、変異株の流行中に開催強行どころか観客まで入れようというのは正気の沙汰ではない。その上、菅政権はザルのような対策しか考えていないのである。
しかも、背筋が凍るのは、菅政権はこの東京五輪・パラリンピックに子どもたちを動員する計画を止めようともしていない、ということだ。
本サイトでは繰り返し言及してきたように、東京都は東京オリパラの競技観戦に都内の幼稚園児や小・中・高校生など約81万人を動員しようと計画。だが、これは都内のみの人数で、全国で128万人もの子どもたちが動員されることになるのだ。
実際、本日おこなわれた参院決算委員会では、日本共産党・吉良よし子参院議員が「国立競技場でおこなわれるパラ陸上競技の観戦予定者は1日で平均127校、2万1798人の子どもたちが一同に集結するという計算になる」と指摘し、「クラスターが発生したら一体誰が責任をとるのか」と追及したのだが、答弁に立った萩生田光一文科相は「組織委員会にて検討がなされるものと認識している」と言い、こうつづけたのだ。
「これ、私がやれとか私がやめろって言う性質のもんじゃないと思うんで。(組織委が)適切に判断されると思います」
つまり、菅政権はザルの対策だけで観客を入れた開催にアクセルを踏んでいるというのに、萩生田文科相は子どもたちが東京五輪に動員されてそこで感染が起こったとしても政府に責任はない、という態度を示したのである。
米ニューヨーク・タイムズは4月、東京五輪の開催が日本と世界にとって「一大感染イベント」になる可能性があると指摘していたが、冗談ではなく、このままではそうなる可能性が高まっている。その犠牲となるのは、言うまでもなくわたしたちの健康だ。菅首相の暴走を、なんとしても止めなくてはならないだろう。
(編集部)
最終更新:2021.05.31 10:16