高須氏はほんとうに4月まで、秘書の指印を知らなかったのか。いや、仮に秘書の指印の報告を受けたのが、ほんとうに4月だったとしても、なぜ5月20日、中日新聞に報じられるまで、一切公表せず黙ってきたのか。団体代表として、調査や説明の責任を果たすどころか、1カ月近くも隠蔽してきたことになる。
このことからもわかるように、高須氏は「代表として責任は僕にある」などと口ではカッコつけているが、安倍晋三・前首相のよく言う「任命責任」と同じで、疑惑解明の責任も説明責任も果たしていないのだ。
実際、高須氏の不審な言動はこれだけではない。とくに不正の疑いが指摘されるようになって以降、高須氏は、疑惑を払拭するどころか、まるで不正の解明を阻むような不可解な言動を取ってきた。
今回の不正署名の可能性がはじめて指摘されたのは、愛知県内の大部分の地域で署名の提出期限であった昨年11月5日の前日、11月4日のことだった。
リコールの会は、11月4日に署名簿を選管に提出するのだが、署名簿にナンバリングをしていないという事務的ミスがあり受け取ってもらえず、急遽ボランティアを集めナンバリング作業をすることになる。その作業のなかで、明らかに無効や不正の可能性のある署名を発見した一部ボランティアが、提出されないように抜き取り、その事実をネットで公表した。
すると、高須氏は11月7日、突如として、自身の健康問題を理由にリコール運動の終結を宣言したのである。たしかに、署名は大部分の地域で期限を迎えていたものの、豊橋市や岡崎市など5市町では地方選挙のために署名活動期間が後ろ倒しになっており、まだ活動を続け、署名を上積みさせることは可能だった。
仮に、高須氏の健康状態が悪化したとしても、他の人たちが署名活動を続けることは可能だったはずだ。にもかかわらず、高須氏は慌てて、署名活動を閉じてしまったのである。