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東京五輪組織委が看護協会に「看護師500人を動員」要請する横暴! “国民の命より五輪ファースト”は検査やワクチンでも

 いや、「国民の命よりも東京五輪ファースト」という問題はこれだけではない。たとえば、菅首相は前回の緊急事態宣言の解除を決定した際に「高齢者施設など3万箇所で3月末までに検査を実施する」と述べていたが、4月12日までにおこなわれたのは約2万施設にとどまっており、さらに無症状者へのモニタリング検査も「4月には1日5000件規模」と言っていたのに、4月12〜18日の検査数は1日平均1450件にすぎない(東京新聞23日付)。にもかかわらず、東京五輪では参加選手に原則毎日検査をおこなうという。

東京五輪でマラソン競技が開催される札幌市では16日、看護師らが「看護師に定期PCR検査もせず五輪かよ」という横断幕を掲げて定期的なPCR検査の実施を求める訴えをおこなったが、国民はもちろん、医療従事者でさえ満足に検査をおこなえていないのに、選手にだけは毎日検査というのは、まったく道理が通らない。

「日本人選手にワクチンを優先接種する」という問題も同じだ。14日に自民党の下村博文政調会長が「来月(5月)中旬ごろまでには選手へのワクチン接種を含め議論していきたい」と発言したように、高齢者や基礎疾患のある重症・死亡リスクが高い人を差し置いて五輪選手というだけでワクチンが優先接種される可能性は高い。
 
菅首相が国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長の来日の前に緊急事態宣言を解除する方針であることからも「国民の命よりも東京五輪」と考えていることは明白だが、その東京五輪の開催を強行することによって感染拡大と医療崩壊が起こっても、菅首相にも組織委にも責任はとれない。失われてしまった命は戻らないからだ。

しかも、これは国内だけにかぎった問題ではない。インドで猛威を振るっている二重変異株が国内でも確認されたように、3カ月後、世界がどんな状況になっているかは誰にもわからない。ニューヨーク・タイムズは12日付の記事で「東京五輪は3週間のスーパースプレッダー・イベントとなり、日本中いや世界中に死と病を引き起こす可能性がある」と警鐘を鳴らしたが、これが現実となる可能性も十分ある。

だが、そうした課せられた重みについて、菅首相も組織委も一顧だにしない。これは端的に言って棄民の発想としか言いようがない。私たちはいま、この狂った判断によって生命・健康が脅かされ、見殺しにされようとしているのだという自覚をもっとはっきりと持つべきだろう。

最終更新:2021.04.26 06:31

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