首相官邸HPより
無責任にもほどがある。本日9日、感染が拡大する東京都と京都府、沖縄県に「まん延防止等重点措置」を適用すると菅義偉首相が発表したが、またも会見をおこなわず、ぶら下がり取材もわずか約6分で終了させたからだ。
さらに、菅首相がぶら下がりで「集中的な対策」として打ち出したのは、「飲食店の20時までの営業時間短縮」「罰則の適用」「すべての飲食店の見回り」。つまり、国民にだけ締め付けを強いるものだけだった。
だいたい、20時までの時短営業の要請は緊急事態宣言下でもおこなわれていたし、過料という罰則に大きな実効性があるとは思えない。その上、飲食店をすべて見回るというのは、この緊急時にマンパワーと税金の無駄遣いと言うほかないだろう。
しかも、東京都が早晩、感染爆発状態の大阪府と同じ状況に陥ることは確実視されている。実際、東京都健康安全研究センターの調査による「都内の変異株の発生割合」を確認すると、感染力が強く重症リスクが高い英国由来の変異株の割合は3月22日〜28日では8.2%だったが、直近の3月29日〜4月4日では32.3%にまで急増している。
だが、このような状況にあるにもかかわらず、東京都では変異株のスクリーニング検査がわずか24.7%(3月29日〜4月4日)しかおこなわれていない上、そもそもの陽性者を発見するための検査実施件数自体が少ない。事実、4月1日〜7日の検査実施件数のうち、もっとも多かった5日でも1万1081件、もっとも少なかった4日は2022件。均すと1日あたりの検査数は7110件にとどまっている。いや、それどころか、感染者は先週よりも増えているのに、検査実施件数は先週より減少しているのである。
1年以上叫ばれつづけてきたのにいまだに検査数が増えない現状を抜本的に変えるという政府としての責任も果たさず、この期に及んでも“国民の気の緩み”“自粛疲れ”などと責任を押し付け、「罰則と見回り」という監視強化でその場をしのごうとする──。本日おこなわれた政府分科会では、専門家からも「これまでと違った対応をしなければとても乗り切れない」という意見が出たというが、国民任せで政府にやる気のない状態では、第3波以上の犠牲を生み出すことになるのは目に見えているではないか。