典型だったのは、19日の『とくダネ!』(フジテレビ)だろう。司会の小倉智昭が「これで直美ちゃんの仕事の範囲が狭まるようなことがあったら、もっと直美ちゃんにとってはマイナス」とあたかも渡辺はこの仕事をやりたがっていたかのようなコメント。すると、ふだん、ジェンダー差別やセクハラ問題で意識が高い発言をするカズレーザーも、したり顔でこんな解説を口にしたのだ。
「渡辺さんは自分の容姿、ふくよかな体型で笑いをとってきたし感動も与えてきたし、それをもう自覚してらっしゃるので、正直この件について何とも思ってないはずなんですよ。まったく興味もない。でも今なんとも思ってないって今いうと、なぜなんとも思わないんだという批判の対象になるから、何かコメントを出さざるを得ないので、こういう大人な文章を出したと思う」
しかし、そのすぐ後、ほかでもない渡辺直美によって、こうした見方が容姿いじりを続けたい芸人たちの願望でしかないことが証明されてしまう。
渡辺は、公式コメントを発表した翌日の19日夜になって、自身のYouTubeチャンネルの生配信であらためてこの問題について約30分以上にわたって語ったのだが、そこで、テレビで横行する容姿いじり、ルッキズムを真っ向から否定したのだ。
渡辺はまず、「私がいちばん、この報道について最初に思ったのは、連日の記事やテレビの報道で傷つく人がいるだろうな、と。そこが私の中では心配だった。コンプレックスに悩んでいる子たちもいっぱいだろうし、それを乗り越えた人たちも、もう一回それを思い出してしまうことだな、と」と、この容姿いじりが自分だけの問題でないことを表明。続いて、18日のコメントについて「自分の体形が好きだって言ったの」「それは一人の表に出る演者としての私のコメント」と説明したうえで、あらためてこう語った。
「今回の演出に関して私は知らなかった。だけど、コメントとかツイッターのコメントを見ていると、『芸人なんだから、芸人の渡辺直美なんだからぜったいにこのブタという演出も楽しくやってたと思うよ』っていうコメントも結構多かったの。でもね、もしも、その演出プランが採用されて、私の所にきた場合は、私は絶対断っていますし、その演出を私は批判すると思う。目の前でちゃんというと思う。だって普通に考えて、言い方は悪いですけど、面白くなく、意図がまったくわからない。これはシンプルに思う。だから、もしそれを出されたら、私は『面白くない、意図もわからないし、ブタである必要性って何ですか』って言っていると思う。これだけは伝えたいんだけど、芸人だったらっていうこと自体も違うからねっていう。今回の案、演出に関して、芸人だったらやるかといったら違うし」
そう、渡辺は芸人だからといって容姿いじりの演出を喜んで受けるわけではない、ときっぱりと否定したのだ。