5日会見する菅首相(首相官邸HPより)
5日、首都圏を対象とした緊急事態宣言の再延長を発表し、記者会見をおこなった菅義偉首相。延長期間である2週間の根拠も示さず、肝心の感染再拡大防止策は「コマーシャルを倍増して徹底する」というトホホなものだった。
しかし、5日の会見でさらにあ然とさせられたのは、女性に対する支援策についての菅首相の説明だ。
菅首相は昨年から女性の自殺者が急増していることを取り上げると、「大変心を痛めており、対策が急務」と発言。その上で、女性の非正規やひとり親などを対象に「ITスキルなどの訓練の機会を大幅に広げる」といった就労支援をおこなうと発表したのだ。
女性の自殺増加は昨年の夏から問題化してきたもので「対策が急務」と言うにはあまりにも遅すぎるが、その上、対策は「IT技能訓練」って……。まず緊急に必要なのは、直接の給付金や生活保護受給要件の緩和など、生活に不安を抱かずにすむ状況をつくり出すことだが、困窮者支援について質問が飛ぶと、菅首相は「緊急小口資金の限度額を200万円に引き上げました」などと言うだけだった。
森喜朗氏の性差別発言以降、ことあるごとに菅首相はあたかも「女性」の問題に取り組んでいるかのようなアピールをおこなってきたが、コロナ禍で女性の困難がここまで顕在化しても、この有様。今回アピールした「IT技能訓練」も、パソナのようなお友だち企業に丸投げ、中抜きが起こる展開になるのは目に見えている。
だが、菅首相の「女性」政策が、いかにその場しのぎであるかをあぶり出したのは、これだけではない。さらに象徴的だったのが、4日の参院予算委員会だった。
「社会的に、女性に対して『当たり前』とされてきたこと、これがじつは新型コロナのもとで女性に大きな困難をもたらしている」
この日、日本共産党の田村智子参院議員が、コロナ禍で女性の自殺者や失業者が急増している背景に女性に対する構造的差別の問題があることを指摘したのだが、菅首相はじめ菅政権の閣僚たちはこの問題に誰一人まともに取り合おうとしなかったのだ。