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有馬キャスター降板だけじゃない! NHKが世論調査でも政権忖度 東京五輪「延期」の選択肢を削除、開催をめぐる討論番組も急遽中止に

 しかも、同時期に世論調査をおこなった読売と共同通信は、東京五輪開催組織委員会の森喜朗会長による性差別発言の受け止めについても質問をおこなっており、読売では「大いに問題がある」が63%、「多少は問題がある」が28%となり、「森喜朗氏の発言「問題」91%」と見出しに立てて報道。共同通信も、会長として「適任とは思わない」という回答が59.9%に上ったとした。だが、NHKの世論調査では、森発言についての質問はなかった。

 このタイミングで五輪開催の是非を問う質問をなくし、国際的な問題となっている森発言についても質問しない──。これはようするに、東京五輪を強行開催したい菅政権の顔色を伺ったNHKが、「不都合な質問」をなくしたということだろう。

 実際、「中止」「再延期」が合わせて77%に達したNHKによる1月の世論調査をめぐっては、内閣支持率などの結果は同月12日の夜のニュースで伝えながら、五輪開催の是非や安倍晋三・前首相の「桜を見る会」問題についての質問とその結果については翌13日の早朝ニュースで伝えたことから、「NHKは政権に忖度して視聴者の多い夜の報道を避けたのではないか」という指摘が起こっていた。

 しかも、このNHKの1月調査は同月9日〜11日におこなわれ、12日に第一報が報じられる前から政界関係者にはその結果が伝わっていたと言われているが、その12日におこなわれた五輪組織委の年頭挨拶で、森喜朗会長は「なぜあえてこういう『五輪をやるべきか』『延期すべきか』『中止すべきか』という世論調査をするのか」「私には疑問がある」などと世論調査に「クレーム」をつけていた。世論調査のなかでもとりわけNHKの世論調査は国内外に影響力があり、菅首相も最重要視していると伝えられているが、森会長はそのNHKの世論調査の結果を知っており、わざわざ言及してクレームを付けたのではないかと見られているのだ。

 そして、この世論調査がさらに波紋を広げ、重大な問題が起こる。「デイリー新潮」によると、1月のNHK世論調査の結果を受け、ニューヨーク・タイムズ電子版が1月15日に“80%近くが五輪の再延期か中止だと考えている”と伝えたことにより、「森会長や官邸幹部が激怒」。そして、NHKは1月24日にNHKスペシャルで放送予定だった『令和未来会議 どうする?東京オリンピック・パラリンピック』という討論番組を、同月17日に急遽中止したというのだ。

 世論の動向を知らせるための正当な調査とその回答に対してまで文句をつけること自体が報道への介入であり、断じて許される問題ではないが、官邸や森会長の逆鱗に触れた当のNHKも忖度して番組を中止してしまうとは。しかも、NHKは問題だと槍玉に挙げられた世論調査の質問自体を変えてしまったのだ。

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