実際、本サイトでも報じてきたように、この日の放送に対する菅官邸の怒りは相当なものだった。
「週刊現代」(講談社)11月14日・21日号は、放送翌日に起こった一件をこう報じた。
〈その翌日、報道局に一本の電話がかかってきた。「総理、怒っていますよ」
「あんなに突っ込むなんて、事前の打ち合わせと違う。どうかと思います」
電話の主は、山田真貴子内閣広報官。お叱りを受けたのは、官邸との「窓口役」と言われる原聖樹政治部長だったという。〉
山田真貴子・内閣広報官というのは、総務省出身で安倍政権下の2013年から2015年まで広報担当の首相秘書官を務めた人物で、新政権発足で菅首相が官邸に呼び戻した“子飼い”だ。そんな人物が、番組の内容に「あんなに突っ込むなんて、事前の打ち合わせと違う」とクレームをつけ、「総理、怒っていますよ」と言い放ったというのである。この「総理、怒っていますよ」というひと言のインパクトは絶大で、NHKが震え上がったことは間違いないだろう。
この“クレーム圧力電話”問題は11月25日の衆院予算委員会の集中審議でも立憲民主党の大西健介衆院議員が取り上げたのだが、大西議員は上述の山田広報官のセリフを読み上げた上で、キャスターはごく当たり前のことを訊いただけなのになぜ怒ったのかと菅首相に質問。すると、菅首相はこうまくし立てた。
「大変失礼ですけれども、私は怒ったこともありません。山田広報官に指示したこともありません」
「私はその辺のことの常識は持ってます」
さらに、報道に対して反論ツイートや電話をすることでメディアは批判をしにくくなるのではないかと問われると、「山田広報官が電話したというのは、週刊誌か何かですか? 私は承知しておりません」と答えた。
しかし、それからしばらくして、この「週刊現代」の報道を裏付けるような事実が明らかになったのだ。