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菅首相が過去に森喜朗会長と同じような女性差別発言 会見で女性は質問するより控えた方が好きかと問われ「そっちのほうがいい」

 五輪の重要な理念が「男女共同参画」……!? しかし、オリンピック憲章の根本原則に書かれているのは、〈このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない〉というものであり、男女共同参画などという言葉は出てこない。

 当然だ。1999年に施行された「男女共同参画社会基本法」や内閣府に設けられた「男女共同参画局」が象徴的なように、「男女共同参画」とは「男女平等」や「ジェンダー平等」を言い換えた行政用語だ(実際、内閣府は「男女共同参画」を英文では「Gender Equality」としている)。

 ようするに、「オリンピックの重要な理念は男女平等」とか「性別・性的指向に基づく差別は禁じられている」とか言えばいいものを、菅首相は「男女平等」という言葉を避け、わざわざ「男女共同参画」なる差別という問題の本質をぼやかす言い換え用語を用いたのである。

 この期に及んでも「男女平等」「性差別撤廃」とはけっして口にしない菅首相──。しかも、忘れてはならないことは、菅首相は性差別発言をスルーした前例があることだ。

 それは、菅氏が総理に就任して9日後である、昨年9月25日に杉田水脈衆院議員がおこなった「女性はいくらでも嘘をつけますから」という発言だ。

 このとんでもない暴言が飛び出したのは、自民党の内閣第一部会などの合同会議でのこと。女性への性暴力や性犯罪について議論するなかで、杉田議員は、来年度予算の概算要求を受け、女性への性暴力に対する相談事業について民間委託ではなく警察が積極的に関与するよう主張。そうした議論のなか、「女性はいくらでも嘘をつけますから」などと、女性被害者が虚偽申告するというような発言をおこなったとされている。

 これは性犯罪の被害者攻撃をさらに助長するもので、断じて許されない暴言であり、森発言と同じように重大な性差別発言だ。

 この発言以前にも杉田議員の暴言・性差別発言は何度も繰り返されてきたが、そんな杉田議員を自民党にスカウトしたのは安倍前首相であり、そのため自民党はまともな処分や調査をすることなく杉田議員を放置してきた。だが、その安倍氏が退いて菅首相へと政権が移ったことから、今度こそ厳しい処分が下るのではないかという期待もあった。

 しかし、それはものの見事に打ち砕かれた。菅首相は杉田議員に対して何ら動こうともせず、自民党の下村政調会長が注意しただけで終わった。さらに、昨年10月13日には性暴力の根絶を訴える「フラワーデモ」の主催者らが自民党本部を訪ね、杉田議員の謝罪や議員辞職を求める13万筆超もの署名を渡そうとしたが、自民党側は受け取ることさえしなかった。そして、この問題について国会で問われても、菅首相は「国会議員の出処進退は自ら判断するもの」だの「個別の国会議員の発言にはコメントは差し控えたい」だの「(署名の)取り扱いは党の判断を尊重する」だのと素っ気ない答弁を繰り返したのだった。

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