首相官邸Twitterより
菅義偉政権の支持率が急落している。共同通信が今月5・6日に実施した世論調査では、菅内閣の支持率は前回11月からなんと12.7%も減らし、50.3%に。共同通信の世論調査で内閣支持率が10%以上減少したのは、安倍政権で加計学園問題が追及されていた2017年6月以来だ。
さらに、JNN世論調査でも11.5%下落で55.3%。政権支持の数字が出る傾向の強い読売新聞の世論調査でも8%減らして61%となった。
こうした内閣支持率の急落の背景にあるのは、無論、菅首相の新型コロナ対応だ。共同通信の調査では感染防止と経済活動のどちらを優先すべきかという問いに「どちらかといえば」を含めて「感染防止」と回答した割合は76.2%。読売調査でも「GoToトラベル」について「いったん中止する方がいい」「やめる方がいい」と答えた人の合計は77%にのぼっている。
しかも、現実に起きている危機的状況を見ると、下落した内閣支持率でさえ高すぎるというべきだろう。
現に、菅首相は11月26日、ぶら下がり取材で「勝負の3週間」と宣言しながらも、記者から飛び出した「GoToトラベル」にかんする質問を無視して立ち去ったが、その「勝負の3週間」から2度目の週末となった昨日6日、東京近郊の観光地では先週より人出が増加。TBSの報道によると、東京の原宿で11%、箱根湯本で29.4%、熱海温泉で32.4%も増加したという。
その一方、感染の拡大は加速し、医療現場の病床逼迫や医療従事者不足は危機的状況に。今月2日時点で、病床使用率が「ステージ3」相当となったのは18都道府県にものぼり、東京や大阪、愛知、北海道のみならず、三重や群馬、埼玉、沖縄、茨城、岐阜、愛媛などでも病床が逼迫。
さらに、重症者数も第1波、第2波のピークを超え、直近1週間(11月30日〜12月6日)の死者数は232人(JNN調べ)と過去最多を更新。もっとも多い死者が出た今年5月の死亡者数が1カ月で441人だったことを考えれば、現在のこの数字がいかに深刻なものであるかは明白だ。
こうしたなか、今月3日には脇田隆字・国立感染症研究所長が「20~50代の比較的活発に動く方々の移動を抑えることが重要だ」と指摘。さらに、昨日6日放送の『日曜討論』(NHK)では、分科会の尾身茂会長も「『GoToトラベル』も含めて人々の動きと接触を短期間、集中的に減らすことが、今の感染(拡大)を沈静化するために必須だ」と言及した。
これはようするに、札幌市と大阪市を「GoTo」対象外にしたり、東京都を「高齢者や基礎疾患がある人の利用自粛呼びかけ」しただけでは意味がない、と断じたに等しいものだ。