トランプがアメリカでヘイト勢力や白人至上主義を助長させたのと同じように、安倍首相の存在によって大きな力をもつようになった極右論壇やネトウヨだが、彼らにとってトランプ大統領は安倍前首相と同じように自身の差別したい欲望を肯定し、差別にお墨付きを与え、後押ししてくれる存在だったということだろう。
しかし、そのトランプがもし大統領選に落選したら、民主主義的な価値観が復活して、そのヘイトとフェイクが世界中で再認識されてしまえば、それこそ自分たちの存在自体が否定されてしまいかねない──そんな恐怖が彼らを狼狽・錯乱させているのではないか。
しかし、こうした右派連中やネトウヨたちの狼狽と錯乱による妄言を、「負け犬の遠吠え」と笑い話にするだけで終わらせることはできない。
なぜなら、トランプ勝利と、陰謀論による不正選挙を叫ぶそのネトウヨ言論がマスコミにも影響を与えているからだ。実際、開票が進むにつれ、ワイドショーのMCやコメンテーターがやたら「バイデンを支持しているわけじゃない」などとエクスキューズをつけ始めたのだ。これは明らかに、ネトウヨからの攻撃に対する配慮だろう。
そこまで踏み込んだトランプ批判などテレビでほとんど見かけなかったが、連中にとっては少しでもトランプを批判しただけで、「バイデン贔屓」「偏向」ということになるのか。安倍政権を少しでも異を唱えようものなら「偏向」「反日」などと攻撃されていたのと同じような構図になっている。
トランプが大統領でなくなったとしても、これは非常に危険なことだ。トランプ批判が許されないということは、トランプが喧伝する差別肯定、人権無視、フェイクニュースが無批判に垂れ流されることになる。いったい日本の言論状況はどうなってしまうのだろうか。
(編集部)
最終更新:2020.11.16 08:07