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NHKが学術会議問題で日本会議イデオローグ・百地章の任命拒否擁護論! 政権忖度、両論併記のために極右学者を起用する危険性

 だが、問題なのは、百地氏の主張に法的根拠がないことではない。このような「御用学者」の「極端」な意見を、まるで学者のなかで意見が二分され、「政府対応に理解示す意見」と拮抗しているかのように視聴者に思わせる取り上げ方をおこなったことだ。

 現に、今回の任命拒否問題に対し抗議声明を発表している学会、団体などは600を超えるというが(東京新聞31日付)、一方、「政府対応に理解示す意見」はごくわずかだ。

 そのひとつが、菅首相の対応は「正当」だと支持する表明をおこなった「日本弁護士協会再建準備会」による会見だが、しかし、この会見に登場したのも極右だらけ。たとえば、同団体代表世話人の高池勝彦弁護士は「新しい歴史教科書をつくる会」会長、今回の声明に賛同している高橋史朗・麗沢大学特任教授はやはり日本会議の中心メンバーで「親学」なるトンデモ教育理論の提唱者、田中英道・東北大名誉教授は「新しい歴史教科書をつくる会 」元会長で「『慰安婦像』のモデルは米軍犠牲者の少女だった」なるデマを喧伝したこともある人物(https://lite-ra.com/2017/12/post-3635.html)……といった具合だ。

 ようするに、安保法制を合憲とする憲法学者がもののわずかしかおらず、さらには極右まみれだったのと同じで、今回の任命拒否を「正当」だと主張するごくわずかな者たちも、結局は学者の皮を被った極右運動家ばかりなのだ。

 しかも、今回NHKがその代表として登場させた百地氏は、「北大がある研究で防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募・採択されたのに、日本学術会議の幹部が北大総長室に押しかけて辞退させた」なるデマを流した「国家基本問題研究所」の理事でもある。同団体も御多分に洩れず、理事長が櫻井よしこ氏、副理事長が日本会議会長の田久保忠衛氏という極右の巣窟で、このデマについてその後HPに〈学術会議幹部が北大総長室に押しかけた事実はありませんでした〉として「訂正」を掲載した。にもかかわらず、10月23日には櫻井氏の写真とともに「日本学術会議は廃止せよ」と訴える意見広告を産経、読売、日本経済新聞の3紙に掲載し、そこでは、活動実績がないことがすでに示されている学術会議と中国科学技術協会との覚書などを取り上げて〈日本を否定することが正義であるとする戦後レジームの「遺物」は、即刻廃止すべき〉〈真の独立国家としての土台を蝕む組織は、一掃すべき〉などという筋違いの主張ががなり立てられていた。この意見広告にも百地氏は名を連ねている。

 つまり、NHKは菅首相の任命拒否を「妥当」などと主張する学者はわずかであるにもかかわらず、「両論併記」を装って意見が二分しているかのように伝え、任命拒否の問題とはまったく関係のないデマを喧伝し「廃止しろ」などと迫っている団体の理事を素知らぬ顔で登場させたのである。

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