ちなみに、この特集冒頭で田崎氏のあとに柿崎氏就任の感想を問われた八代弁護士は、こう話していた。
「やあ、僕、大変だと思いますよ。男の嫉妬はめんどくさいですから。これからもほんと、茨の道じゃないかと思います。あと一様にみなさん厳しいですよね。直前まで権力を監視する立場にあった人が、その直後に権力の中枢に入って、権力の生成の過程についてのコメントもされてた人なので、やはり厳しく見られてしまうのは、やむを得ないところ。そう言った意味でも茨の道なんじゃないかなと思います」
たしかに田崎氏の態度を見ていると、「男の嫉妬はめんどくさい」というのはよくわかる。
しかし、かといって柿崎人事が八代弁護士の言うような「茨の道」になるかどうかは微妙だ。たしかに、他の政治メディアや評論家が嫉妬に狂って、多少の柿崎批判をする可能性もあるが、それが菅政権批判につながることはないだろう。
むしろ、柿崎氏が首相補佐官に起用されるという事態を目の当たりにし、うまく付き合えば自分も何かおいしい仕事をもらえるかも、官房機密費もらえるかも、と、中立的なメディアやジャーナリストを政権忖度に走らせる結果になるのではないか。
日本学術会議の任命拒否が「ムチ」の見せしめだとすれば、柿崎氏の首相補佐官就任はジャーナリストやメディアにとって「アメ」の見本として機能する、というわけだ。
ちなみに、田崎氏については、柿崎氏の人事に腹を立てているのなら、菅政権に対してちょっとは厳しい態度も見せるようになるかもと期待していたが、そんな淡い期待は早々に打ち砕かれた。
先週後半からワイドショーで、日本学術会議の任命拒否問題について、「会員を推薦する過程が不透明」「こんなことで萎縮するような学者はだめ」「なんで学術会議のメンバーにならないと言えないのか」などと安倍・菅政権を擁護し、学術会議を攻撃しまくっている。まったくやれやれである。
(編集部)
最終更新:2020.10.06 01:46