しかも、イギリスやアメリカのメディアからも、共同記事を補強するような報道が出ている。
たとえば、英・ロイターは7日、「日本、香港安全法めぐり米国などの非難声明参加を断る」として共同の報道を紹介したうえで、ロイターとしても日本の外務省と駐日アメリカ大使館に取材、返事はなかったとしている。そして、コロナの影響で延期になったが習近平国家主席の訪日を計画しており、香港問題について米中の緊張関係のなかで複雑な立場にあるとの見方を示している。さらに同日、ニューヨーク・タイムズも、ロイターの報道を引くかたちでこの問題を報じている。取材の結果、根も葉もない話だったならば、これらのメディアがこうした取り上げ方はしないだろう。
だいたい、これが完全な誤報であれば、共同は安倍官邸からすさまじい抗議を受けているはずだが、いま現在も共同は問題となっている記事を削除することも訂正をおこなうこともなく残したままだ。
以前、本サイトでは、共同が西村康稔・コロナ担当相の記事をめぐり、西村大臣の発言をこっそり訂正していたことを伝えた(既報参照→https://lite-ra.com/2020/04/post-5380.html)。この記事や発言は誤報でも何でもなかったというのに、共同は圧力に屈して記事を“改ざん”したのだが、今回の記事はそれとは影響度がまったく比にもならないほど大きいというのに、取り下げてもいないのだ。
実際、共同の関係者に取材すると、「今回については、社も記事に相当の自信をもっているようだ」との答えが返ってきた。
「取材にあたったのはワシントン支局でも手堅いと評価の高い記者。米政府関係者からの情報で入念な裏取りもできているようだ。幹部も慌てている様子はまったくない」
逆に、政府のほうは、共同の記事を明確に否定もしない一方、大慌てで報道を打ち消すような動きに出ている。たとえば、共同の記事が出た翌8日の読売新聞は朝刊で「独自」と銘打ち、「香港問題「G7で声明を」…日本働きかけ 「一国二制度」維持求め」という記事を掲載。〈複数の外務省幹部〉の話として、日本政府が提案したかたちでG7の外相が憂慮を示す声明を出す方向で調整していると報じた。
だが、この記事でも、米英からの共同声明の打診を拒否したという共同の報道は否定されておらず、〈米国や英国も同様に数か国での共同声明の取りまとめを調整してきたが、日本政府はG7の枠組みが重要との考えだ〉と強調しているだけだった。