きょうの衆院経産委員会ではこのほかにも、一般社団法人および一般財団法人は法律で定時社員総会の終結後に遅滞なく貸借対照表を公告しなければならないと定められているにもかかわらず、サービスデザイン推進協議会の決算報告が官報にないことが判明。さらに、サービスデザイン推進協議会が入っている東京・築地の雑居ビルには「商店街まちづくり事業事務局」や「中心市街地再生事業事務局」「農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築事業事務局」など6つの公共事業にかんする事務局が入居していることを国民民主党の斉木武志衆院議員が指摘。そして、これらの事業は電通が落札者であると政府も認めたのである。
露骨な政府と電通の癒着ぶりを象徴するような“電通ビル”にサービスデザイン推進協議会が入居していたというわけだが、今回、ここまで問題になっているのは、政府は新型コロナ対応までをも安倍政権に近い電通に融通し、焼け太りさせているという事実だ。
そして、これは「持続化給付金」事業だけにかぎった話ではない。安倍政権が第一次補正予算で1兆6794億円も予算を付けて非難轟々となった経産省主導の「GoToキャンペーン」でも事務委託費が最大約3000億円にものぼることがわかっているが、じつは、この事業もA氏と電通に委託する方向で経産省は動いている、という情報があるのだ。広告代理店関係者はこう語る。
「委託先の公募は5月26日からはじまり、締め切りは6月8日までとなっていますが、広告業界では5月下旬ごろから『すでに電通で決まっている』という噂が広がっています。正直、『持続化給付金』は『なんで電通が?』という感じですが、『GoTo』は広報展開や政府との関係をも考えれば既定路線。例の元電通社員のA氏が動いている可能性も十分あるでしょう。ただ、『持続化給付金』がここまで問題になってしまったんで、どうなるかは経産省次第でしょうね」
たしかに、ここでまたも「GoToキャンペーン」を電通が受託すれば火に油を注ぐようなものだが、安倍首相の最側近である今井尚哉首相補佐官の存在によって安倍政権下における“最強官庁”となった経産省がどう出るかは蓋を開けてみないとわからない。
実際、サービスデザイン推進協議会は「持続化給付金」の事務委託を769億円で受託しているが、これは第一次補正予算から捻出されるもの。第二次補正予算案では、なんとこの金額を上回る850億円が計上されており、委託先はやはりサービスデザイン推進協議会になる見込みだということが本日の衆院経産委員会で明らかになったのである。
これだけ国の契約が問題視されても見直そうとしないのは、いくら問題が大きくなっても“電通タブー”によってメディアの追及が激化することは絶対にない、すなわち国民も騒がない、と安倍首相が高を括っている証拠だろう。
しかも、安倍自民党は、新型コロナ対応に迅速にあたらなければならないというのに今国会の会期を延長せず、来週17日には閉会させようとしている。森友・加計学園や「桜を見る会」問題もそうだったように、国会を閉じることで追及を幕引きさせ、疑惑を有耶無耶にしようという算段なのである。
国民から「持続化給付金が支給されない!」という悲鳴があがる一方で、政府と電通が一体化し食い物にする──。このグロテスクな癒着を、看過するわけにはいかないだろう。
(編集部)
最終更新:2020.06.03 10:54