崔さんと伊藤さんは、ネットでのヘイトや誹謗中傷についても自らの経験をこのように語っていた。
崔さん「今日、実は弁護士さんに調べてもらったら、検索ウェブサイトで私の名前を検索すると、千数百万件の書き込みがヒットします。『出ていけとか』『国に帰れ』とかそういうヘイトがほとんどですね。数が多く書かれるからといって、決して慣れたりすることではないです。一件一件、本当にしっかり怖いですし、しっかり傷つきます」
詩織さん「いま自分の受けたことも思い返していたんですけど、どんどん手足が冷たくなって、身体が冷たくなって、いま(崔さんのお話を)聞いているだけでも冷たくなってしまったんですけど……やっぱり命の危険を感じるような書き込みだったりとか、誹謗中傷を受けたときは、どういうふうに生活を続けていいのか、この人たちが本当に命を狙ってくるんじゃないかと思うと、普通に生活ができなくなってしまったし、家族に迷惑をかけてはいけないと思って家族とも距離ができたし、それを考えると、そういうことがあってイギリスに身を移しているんですけど」
「女性から『女性として恥ずかしい』と。『あなたの受けたことが本当であっても、日本人女性としてそれはやるべきではない』というメールが来たので、(私は)できたらそう思われる背景をぜひお聞かせしてほしいということをメールで書いたことがありましたね。でも、どんなに丁寧に返信をしても一度も返ってきたことがなくて。だから、できればもうちょっと対話できる場所はほしいなと思っています」
崔さん「インターネット上のヘイトスピーチが禁止されたりするルールがないなかでは、個人の力でひとつひとつ取り組むしか策がありません。法務局に申告して、それが人権侵害にあたるかどうかを審査してもらって、あたるということであれば、国、法務局がその運営会社に削除要請をお願いをする。そのかかる時間と二次被害と、本当に個人の力では限界があるなと」
伊藤さん「やっぱりヘイトの問題につながるんですけど、アメリカでもいままでヘイト、メキシコ系の方にだったりとかLGBTQの方への銃乱射事件があったりとか、本当に、もしかしたら知らないうちに大きくなってしまっているオンラインのヘイトが、そうした大変な事件につながりかねないということを考えると、本当にヘイトスピーチに対して今一度考えていかないといけないんじゃないかと思いますね」
こうした差別問題、とりわけ政治主導の“官製ヘイト”については、本サイトでも何度も取り上げてきたが、地上波のゴールデン番組である『バリバラ』に伊藤さんや崔さんら当事者が出演し、踏み込んだ発言をする意義は大きい。「バリバラ桜を見る会」の後編(第二部)は、来週4月30日午後8時から放送される。コロナに乗じてヘイトが勢いづき、多様性を否定する動きが活発化するなか、真っ向から対峙する『バリバラ』を今後も注目したい。
(編集部)
最終更新:2020.04.24 07:29