ところが、こんな松本に援軍が現れた。高須クリニック院長の高須克弥氏も松本の発言について報じたニュースをリツイートしたうえで、〈何で物議になるのか? 僕だって、僕の税金から払ってもらいたくない。何がいけない?〉と、全く同じ主張を投稿したのだ。
自分たちが過去にさんざんこういう店を利用してきたのに、危機的状況になると、途端に“汚い商売”扱いして切り捨てる──。彼らのなかでは結局、ホステスや性風俗に従事しているような女性は“モノ”にすぎず、それぞれに意思や生活事情があることなんて全く想像の外なのだ。
右派やネトウヨが平気で「従軍慰安婦」を否定するというのも、結局、こういう精神構造がベースになっているのだろう。
しかし、高須院長の場合、ホステスを排除するこの姿勢って、それこそパートナーであるマンガ家の西原理恵子の作品を完全否定するようなものではないのか。西原はこの発言を許すのか。
松本や高須ほどではないが、立川志らくも、とんでもない理屈で、風俗業の排除を正当化していたひとりだ。
志らくは4月3日にツイッターでこう述べていたのだ。
〈落語家は「この商売はあってもなくてもではなく、なくてもなくてもいい商売だ」とよく言う。夜の風俗店はあってもなくてもいい商売。だからこれに補償しないのは差別だといのはちと違う。真っ先に補償すべきは、なくては困る商売。職業に貴賎なしではあるが非常事態における優先順位は当然出てくる。〉(原文ママ)
もっとも、志らくは批判が殺到すると、当該ツイートを削除し、こんな釈明をした。
〈知事に名指しされた夜の風俗店を補償してあげたらと私はひるおびで発言したら風俗なんぞを税金で助けるな!と非難された。でも風俗で働いているシングルマザーだっている。続いて職業に貴賎なしではあるがでも順番はあると発言したら風俗を差別したと非難される。こんな状況だから皆ピリピリしている。〉
ようするに、風俗業への補償を口にしたら批判されたから、優先順位があると修正しただけ、などと言い出したのだ。しかし、志らくがそこまできっぱり風俗で働く女性たちを擁護したのを見た記憶がないし、仮にしていたとしても、批判なんてたいしてされていない。それを「皆ピリピリしている」とか、何をごまかしているのか。
まったくその小狡さには呆れるが、もっと問題なのは、風俗業の優先順位が下だと見る認識じたいが間違っていることだ。前述したが、シングルマザーが多い風俗業の女性を補償から外すという政策は、それこそ、生活困窮者を大量に生み出すだけでなく、感染を拡大させることにもなりかねない。志らくはそのことをまったくわかっていないのだ。