もうひとつ、厚労省の息のかかったメディアや専門家、医療関係者の間では「感染者数が正確でないとかは関係ない。日本は死亡者が少ないのだから、いまのやり方で成功している」という意見もよく聞くが、これもまやかしだ。そもそも、検査をきちんとしていないのだから、コロナによる死亡者数が正確かどうかさえわからないからだ。
実は、安倍首相も28日の会見で「日本が持ちこたえている」根拠として、「死亡者が少ない」ことをあげ、「肺炎になっている人は最終的にCTを撮る。CTで間質性肺炎の症状が出た死亡者はすべてPCR検査をしているから、死亡者の数は正確」と言い張っていた。
しかし、これ、本当なのか。そもそもCTのない場所で死亡する患者もいるのだから、肺炎になっている人が全員、CTを撮るとはかぎらない。しかも、いまは、助かる見込みのある重症者に対してすらPCR検査をしていないのだ。それが間質性肺炎の死亡者全員にPCR検査を完璧に実施しているなんてありえないだろう。
厚労省結核感染症課の担当者は、毎日新聞の取材に対して、「生前に新型コロナウイルス感染症の病状があった遺体などについては、医師が感染症法に基づき、地域の保健所を経由して都道府県知事に届け出る義務があります。公表している死者数と実際の死者数が乖離しているという状況はあり得ません」と答えていたが、一方で、「誤嚥性肺炎なども含め、すべての肺炎患者の方の遺体をPCR検査しているわけではありません」とも述べている。
これはようするに、医師が一般的な肺炎と判断すれば、スルーされてしまうということだろう。実際、ワイドショーでも複数のコメンテーターが、発表された死者数にカウントされていない感染者がいる可能性を指摘していたし、本サイトが取材した感染症の専門家もこう話していた。
「間質性肺炎の死亡者を全員、PCR検査してるとは信じられない。実際は、新型コロナによるものなのに、病院が届け出せず、肺炎による死亡として処理されているケースもあるはず。来年、統計を見たら、それがわかるんじゃないか。肺炎が死因で亡くなる人は毎年、9万人ほどだが、今年はそれが突出して増えている可能性もあると思う」