いや、これはPCR検査の問題だけではない。今回決定した基本方針では、企業に対して発熱などの症状がある社員には休暇の取得を勧めることを呼びかけたが、その休業基準を示さなかったどころか、企業や社員に対する休業補償のためにどれほどの予算措置をおこなうかなどの具体的な話には、まったく踏み込まなかったのだ。
また、萩生田光一文科相は「市町村単位で複数の感染者が出ている場合、思い切って、市、町の学校ごと休むことも選択肢に入れてほしい」などと述べたが、休校措置がとられた際の保護者に対する支援策や補償策は示されていない。
「瀬戸際」だと言うのに、補償策も出さずに国民や企業、自治体に責任を丸投げする……。これはあきらかに政府の責任放棄であり、これで感染の収束などできるはずがない。
そして、それは国のトップの態度からもはっきりしている。日本と同じく感染が拡大している韓国の文在寅大統領は昨日、感染が広がる大邱市を訪問し、「政府は軍、警察までも投入して民間医療関係者の支援を含めた総力支援態勢を取っている。きょう夕方からは首相が中央災難(災害)安全対策本部長としてここに常駐し、現場の陣頭指揮を執る」と宣言(聯合ニュース25日付)。一方、安倍首相は対策本部で基本方針の決定をおこなったが、記者会見も開かずに加藤厚労相に対応を任せきりにし、17時すぎからは都内のザ・キャピトルホテル東急の宴会場で開かれた自民党と各種団体の懇談会に出席して挨拶をおこなっている。
国民に「不要不急の集まりは控えろ」「飲み会や立食パーティを控えろ」と言いながら、自分は宴会場での懇談会にノコノコ出かけて挨拶する──。この男に、もはや何を期待しろというのだろうか。
(編集部)
最終更新:2020.02.26 07:49