厚生労働省HPより
安倍首相の側近である和泉洋人首相補佐官と厚労省の大坪寛子・大臣官房審議官の問題で、またも呆気にとられるような事実が判明した。先週、「週刊文春」(文藝春秋)に2018年9月の和泉首相補佐官のインド出張の際、同行した大坪氏のホテルの部屋を内部でつながった「コネクティングルーム」にするよう外務省から指示が出ていたことが報じられたが、なんと、2018年7月のミャンマー、9月の中国、11月のフィリピン出張でも、ふたりの部屋は隣同士でコネクティングルームだったと10日の衆院予算委員会で外務省の大臣官房参事官が認めたのだ。
和泉首相補佐官と大坪氏については、昨年8月、和泉氏が大坪氏を伴い京都大学iPS細胞研究所へ出張した際に京都観光へ繰り出し、和泉氏が大坪氏にかき氷を“アーン”と食べさせている現場を撮られている。また、京都以外でも、食事中に大坪氏の唇についたかき揚げを和泉氏が指で拭ったり、銀座で手を繋いだり、丸の内で和泉氏が大坪氏を後ろから抱きしめる様子が同誌にレポートされている。そして、今回発覚したコネクティングルームへの宿泊……。
しかも、この2人に持ち上がっている問題は、ただの不倫ではない。国民の税金を使って出張を“不倫旅行”に利用しているという問題、そして、2人の不倫関係が人事や国策にまで影響を及ぼしているということだ。
実際、大坪氏が昨年7月に異例のスピード出世で厚労省審議官に抜擢されたのは和泉氏が強引に大坪氏を推した結果だといわれているが、不倫デートを楽しんだ京都大学iPS細胞研究所への出張では、和泉氏と大坪氏の2人がノーベル賞受賞者の山中伸弥所長に対して、来年から山中所長の取り組むプロジェクトに「国費は出さない」と言い放ち、大坪氏が「iPS細胞への補助金なんて、私の一存でどうにでもなる」と恫喝していたことがわかっている。この予算カットは、文科省が反対していたものを和泉氏が後ろ盾となるかたちで大坪氏が強硬に主張したものだ。
オープンな場で決めるべき予算の問題を密室で恫喝する。これだけでも2人とも辞職モノだが、問題はもっと根深いものであることがわかった。
じつは、こうした予算配分じたいが、行政内部でなんの手続きも踏んでいない大坪氏の独断専行であったことが、内部の公式の会議で明らかにされたのだ。しかも、大坪氏の予算配分での暴走は山中教授のiPS細胞プロジェクトの予算カットだけでなかった。緊急的な感染症対策に使われるような予算を、大坪氏が無理やり自分の担当するプロジェクトにつけたケースも明らかにされたのだ。
大坪氏の所業が暴かれたのは、厚労省、文科省、経産省と内閣府が所管する独立行政法人の審議会でのことだった。
周知のように、「健康・医療戦略室」は室長が和泉首相補佐官、厚労省の大坪氏が次長を兼任する、まさに不倫関係の舞台となってきた部署だが、もともとは、安倍政権が成長戦略のひとつとして医療関連産業の育成を掲げ、2013年に内閣官房に設置したもの。ただし、厚労省、文科省、経産省が支援する医学研究予算を集約させて効率的に配分するためには専門性と効率性が必要だとし、「健康・医療戦略の司令塔」として独立行政法人日本医療研究開発機構(AMED)を発足させた。
今年1月9日、そのAMEDで理事長や専門委員、さらに大坪氏らも参加するかたちで、第10回AMED審議会が開かれたのだが、ここで委員や理事長から飛び出したのが、大坪氏の独断専行への批判だった。