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『ヒロアカ』騒動で集英社がお詫びも、ネトウヨが「731部隊は捏造なのに」と妄言! ならば突きつけよう、“人体実験”の証言

 さらに呆れたのは、今回、海外からの抗議や集英社を非難する声の中に、歴史への無知を丸出しにしたネトウヨの妄言が多数含まれていたことだ。

 たとえば、731部隊が人体実験をしていたのは中国人とロシア人なのに、〈文句言う韓国人は頭大丈夫か?病院行ってこい〉などと、まるで韓国人がクレームをつけたかのような投稿、さらに、前述したように731部隊やその人体実験を「捏造」とする書き込みも多数見られた。

〈マルタ?731部隊?全部デマだよ〉
〈はっきり言ってこれは運動家による言論弾圧である。731を想起させるというが、そもそも731部隊による人体実験自体捏造だらけで疑わしい。〉
〈そもそも731部隊は防疫部隊であって、人体実験してた事実はなく、そんな話は森村誠一の小説であり完全にフィクションなのに〉
〈ヒロアカの件 そもそも731部隊の人体実験は創作、捏造なんだからさってところを突っ込む人が少なすぎるし、公式側があっさり折れてしまって日本人の中にも731部隊は残虐な人体実験をしたってのが史実だと思った人がきっと沢山いるでしょう〉
〈まず連中の言ってる人体実験だのは、旧ソ連が戦後ハバロフスク裁判で自白強要させ創作したプロパガンダ〉
〈731部隊 嘘 …で検索すれば、種々確認できます。731部隊が細菌兵器研究をしていたとしても、人体実験とか実戦で使われた事はないという調査結果が米国の国立公文書館で公表されてます〉
〈そもそも731部隊の人体実験の話自体が小説「悪魔の飽食」の森村誠一率いる極左連中の捏造なのに。バカが悪しき前例をつくりましたね〉

 呆れる。つっこみたいことは山ほどあるが、そもそも「731部隊」の存在は1980年代以降の実証的研究で確定しているし、人体実験やマルタ=捕虜の殺害・非人道的扱いについても史料や元部隊関係者らの証言で裏づけされていることだ。「731部隊は存在しなかった」「人体実験なんてやってない」なる話は、保守系の現代史家である秦郁彦氏らも否定するようなトンデモで、それこそネットで出回ったデマである。

 あらためて説明しておこう。731部隊とは、日本の満州国建設から4年後、日中戦争の前年にあたる1936年8月に、関東軍防疫部(のちに関東軍防疫給水部本部に改称)の名称で発足した陸軍の秘密部隊の通称で、創設者である石井四郎軍医中将の名から「石井部隊」とも呼ばれる。731部隊は、満州で日本軍の細菌兵器の開発を行い、中国人やロシア人を使った人体実験を行っていた。日本の敗戦と同時に、証拠隠滅のために部隊の研究施設は破壊され、被験体も殺害・焼却されている。

 いまさら「『悪魔の飽食』が創作したデマ」などと言っている人は、実際、同書を読んだこともなければその立ち位置も知らないのだろう。戦後の80年代初頭、731部隊を描いた『悪魔の飽食』はそのセンセーショナルな内容で話題となったが、一部写真の誤用が発覚し、右翼から攻撃の対象となった。また、『悪魔の飽食』が指摘するいくつかの点については歴史家から疑問視されているものもあるが、あくまで文献の一つであって、現在までに確実視されている事実がすべて同書に依拠するわけではない。

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