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新年特別企画●嫌韓ヘイト・歴史修正事件簿(後編)

「あいトリ」「主戦場」攻撃、「旭日旗」肯定…政治家とメディアの扇動で高まる歴史修正主義圧力、破壊される「表現の自由」

●事件簿その8
組織委と安倍政権が東京五輪への「旭日旗」持ち込み可の方針! 大日本帝国・軍国主義と安倍歴史修正主義の象徴を世界に晒す愚行

 旭日旗をめぐる問題も同様だろう。ネトウヨたちは「旭日旗が侵略戦争の象徴だというのは韓国の言いがかり」と吠えまくっているが、歴史事実として、旭日旗は戦中の陸軍・海軍で「天皇を中心とした軍国主義の象徴」として扱われた。とりわけ陸軍では軍旗(旭日旗)は「天皇の分身」であり、敗北・玉砕の際は連隊長が腹を切って軍旗を儀式で奉焼したり、爆薬によって旗手が軍旗もろとも自爆する処置までとられた。いわば、旭日旗は戦中のカルティックな帝国主義そのものであり、植民地支配されたアジアの国々が反発するのは当たり前の話なのである。
 ところが、安倍政権はこの旭日旗をめぐっても“容認”する姿勢を見せている。東京五輪をめぐっても、2019年9月、橋本聖子五輪担当相が会見で、韓国が五輪会場への旭日旗の持ち込み禁止を求めていることについて「旭日旗が政治的な宣伝になるかということに関しては、決してそういうものではないと認識している」と語った。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会も「旭日旗は日本で広く使用されるため、それを防ぐ理由がない」「旭日旗自体には、どのような政治的意味も含まれていない。そのため禁止品目とは見なさない」として、旭日旗の持ち込みを認める方針を示した。
 しかも、マスコミの論調も多くが“黙認”に傾いている。たとえばテレビでは『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)で小松靖アナが、「韓国政府が旭日旗をナチスドイツのハーケンクロイツ(鉤十字)になぞらえた」ことについて「ハーケンクロイツとは全然違う」と言って、「専門家の話」として極右活動家の水間政憲氏による説明をパネルで紹介。ドイツ軍が使う鉄十字の紋章を引き合いに「こっち(鉤十字)を持ち出してきて旭日旗と同じだと言うのはちょっと筋が違うんじゃないですか」などと説明した。実はこの話はネトウヨ定番の屁理屈なのだが、だいたい「旭日旗はドイツの鉄十字と同じ」と揚げ足を取ったところでなんだというのか。
 オリンピック憲章では「オリンピック開催場所、会場、他のオリンピック・エリアにおいては、いかなる種類の示威行動または、政治的、宗教的、人種的な宣伝活動も認められない」と定められている。読んで字のごとく、ハーケンクロイツもドイツ軍の鉄十字もNGだ。当然、旭日旗もご法度である。
 繰り返すが、「旭日旗自体には政治性がない」というのは完全なフェイクだ。歴史的にもミリタリズムそのものであることは前述のとおりだが、事実、外国人排斥や虐殺すら扇動するヘイトデモでもこの旗はこれ見よがしに振られている。それこそ、旭日旗が紛れもなく極右思想や差別の文脈で用いられていることの証明だろう。
 にもかかわらず、安倍政権は東京五輪の会場に旭日旗をはためかせようとしている。これでは「日本は差別を推進する国です」と世界中に喧伝しているのと同じだ。

●事件簿その9
公務員のネトウヨ化が次々明らかに! 韓国空港で「韓国人は嫌いだ」とヘイトを叫んだ厚労官僚、ヘイトスピーチを連発した年金事務所所長と少年院教官

 大げさに言っているのではない。実際、安倍政権下では官僚や公務員までもが安倍首相にならったかのように“ネトウヨ化”している。たとえば2019年3月には、厚生労働省の賃金課長が韓国・金浦空港で暴行をはたらき、その上「韓国人が嫌いだ!」と騒いで地元警察に身柄を一時拘束されていたことが発覚。この人物は「女性活躍」や「働き方改革」など安倍政権の政策のアピール役となってきたキャリア官僚だった。しかも、驚愕することにこの官僚は、事件を起こした同日、自身のFacebookに〈なぜか警察に拘束されてます。殴られてけがをしました。手錠をかけられ5人に抱えられ。変な国です〉と書いていた。反省するどころか、「変な国」などと逆ギレヘイト投稿までしているのだ。
 同じく3月に、Twitterで韓国人などに関してヘイトスピーチを連発していたネトウヨが、日本年金機構世田谷年金事務所の所長を務める男性だったことが判明したというケースもあった。男性所長は本名でTwitterを利用していたわけでなく、これまで素性を隠して〈在日一掃、新規入国拒否でリセットしましょう〉〈反日教育を受けているんだから、そもそも(日本へ)くる必要ない〉〈もともと属国根性のない卑怯な食糞民族〉などとヘイト投稿を行なっていた。
 また同月には、少年院の男性法務教官による“ヘイト洗脳”問題が国会で取り上げられた。この男性教官は以前から〈中朝のキチガイ〉〈在日を送還しろ!〉などとヘイトスピーチをTwitter上で繰り返していたことがネット上で指摘されていた。なお、男性教官は2019年1月27日には、百田尚樹の『日本国紀』(幻冬舎)の制作に携わった有本香に、Twitterで〈私は法務教官をしておりますが、自分の担当する寮でも宣伝しまくっています。(中略)少年院に入るような少年はあまり勉強していない分、変に染まってないので洗脳…じゃなくて教育しやすいです(^-^)/〉などともコメントしていた。
 これらは表沙汰になったケースであり、氷山の一角とみるべきだろう。安倍政権下での官僚や公務員のネトウヨ化は、想像よりもずっと深刻かもしれない。これは閣僚人事にも言えることだが、“安倍一強”のなかネトウヨ思想をもつ者のほうが引き立てられるからだろう。

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