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「沢尻逮捕は桜を見る会から話題をそらすため」は陰謀論か? 拙速逮捕の組対5課とあの“安倍官邸忖度”警察官僚の関係

 逮捕直後、マスコミは組対5課のリークに乗っかって、逮捕の裏側をこんなふうに報じていた。

 1カ月前から内偵捜査をしてきた組対5課は、沢尻が逮捕前日15日夜に出かけたクラブで薬物を取り引き・入手するという高い確度の情報を掴んで、クラブに潜入。ここで薬物の取り引きを確認して、クラブから帰宅した沢尻に、捜査員が声をかけた。

 ところが、である。実際はクラブから帰ってきた沢尻エリカに、自宅近くの路上で捜査員が声をかけたとき、沢尻は違法薬物を所持していなかった。その後の家宅捜索で沢尻自身が「ここにMDMAがあります」と自己申告しアクセサリーボックスに入っていたMDMA1錠(約0.09グラム)が発見されたとされている。その後アクセサリーボックスに一緒に入っていたもう1錠のカプセルもMDMAであることは判明したが、それでもわずかMDMA2錠で、現在のところ違法薬物はこれしか発見されていない。しかも、このMDMAについて沢尻は「数週間前に、(前日のクラブとは別の)イベント会場でもらった」と供述しているという。

 そう、15日夜にクラブで取り引きされるという組対5課の情報・見立ては完全に間違っていたのだ。また組対5課はMDMAではなくコカインなど別の薬物で捜査を進め逮捕状を取っていたという情報もある。ようするに、入手場所も、入手時期も、薬物の種類も、すべてが外れていたのである。「数週間前にもらった」ということは、すでに使用されてなくなっていた可能性も十分にあった。

 しかもここに来て、尿検査も、簡易検査でも本鑑定でも「陰性」だったことが明らかになっている。使用容疑での逮捕・立件が困難となる可能性もある。発見されているMDMAも少量で、このままほかの証拠もなく、申告のプロセスや供述によっては所持容疑も微妙だ。たまたま逮捕できただけで、今後不起訴や起訴猶予になってもおかしくない案件。場合によっては、冤罪、不当逮捕の可能性すらある。

“たまたま”薬物が少量残っていて、“たまたま”沢尻が自己申告したから、“たまたま”逮捕できただけ。実態は「高い確度の情報」によって「確実に所持しているタイミングを狙った」どころか、誤情報に基づいた高リスクの捜査だったのだ。薬物捜査では「現物を容疑者が所持・保管している現場を確実に抑えることが最も重要」にもかかわらず、なぜこんな無茶な捜査に動いたのか、かなり不自然と言わざるを得ない。

「組対5課は、件のクラブで薬物が取引されると見て動いたようですが、発見された薬物は数週間前に別の場所で入手されたもので、しかもいまのところ、それ以外の証拠が発見できていないことを考えると、けっこうギャンブル性の高い捜査だった気がします。それに、この程度の情報で、今回、逮捕に踏み切れるなら、その前にもチャンスはあったはず。ところが、これまでは踏み切れず、今回、急に動いた。理由はわかりませんが、上層部から『早く結果を出せ』とハッパをかけられた可能性は十分あるでしょう」(全国紙社会部記者)

 実際、今回の沢尻に対する内偵捜査の期間は、これまでの著名人が薬物で逮捕されたときに比べると、かなり短い。今回、組対5課は1カ月前から沢尻を内偵捜査していたとしているが、同じ組対5課が逮捕したASKAは約9カ月、清原も1年以上、内偵されていた(麻取なので事情が違うかもしれないが、ピエール瀧も半年以上内偵されていた)。「週刊文春」(文藝春秋)が取材に動き始めた3カ月前から組対5課も動いていたとしても、それでも短い。

 もっと内偵捜査を重ねていれば、もう少し情報の精度を上げることはできたのではないか。しかも、大河ドラマの撮影に入っていることを考えれば、早く動かないと沢尻が海外に逃亡してしまうというような可能性も考えにくい。にも関わらず、拙速な逮捕に踏み切ったのである。

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