しかも、“スシロー”の異名を持つ田崎氏は、久兵衛の寿司についても「全員に久兵衛の寿司を出しているわけじゃない」と熱弁をふるったが、では、1万1000円の立食プランで久兵衛の寿司をオプションでつけると一体いくらかかるのか。やはりニューオータニに問い合わせると、その答えはこうだった。
「4貫2000円です」
さすがは高級店だが、4貫2000円ということは、単純に850人の半分にあたる425人が2貫食べたとしても42万5000円が追加され、1人当たりの予算は1万1500円ということになる。
だが、繰り返すが、「前夜祭」の会費は5000円だったのだ。ようするに、いちばん安い1万1000円のプランで久兵衛のオプションをつけ、仮に参加者の半数が2貫食べたという単純計算でも、6500円も差額が出るのである。その上、今年の「前夜祭」ではシャンソン歌手を招いてステージまで披露しているのだ。そこにギャランティが発生している可能性も考えられるだろう。
前述したように、この差額を「桜を見る会」ツアーを取り仕切っていた安倍晋三事務所や安倍晋三後援会、あるいは安倍首相自身が私費から出していたとしたら、それは2014年に小渕優子経産相が辞任に追い込まれた「観劇ツアー」問題と同じで、差額分は有権者に対する利益供与となり、公選法違反の疑いが出てくる。
そして、この「前夜祭」問題を追及されることを、いま安倍首相はもっとも警戒しているのだろう。実際、8日の参院予算委員会で共産党の田村智子議員が「『桜を見る会前夜祭』と翌日の『桜を見る会』がセットになって、山口県のみなさんと親しく懇親をする。そういう場になっているんじゃないですか」と質問すると、安倍首相は「懇親会(前夜祭)に私が出席をして写真等を撮っているのは事実」とした上で、こう答弁した。
「もちろん、それは、各個人がですね、それぞれの費用によって、この、上京し、そして、この、ホテルとの関係においても、それはホテルに直接払い込みをしているというふうに承知をしているところでございます」