新天皇の即位をどこまでも安倍政権のPRに利用しようとする、底知らずの貪欲さ……。しかし、この露骨な天皇の政治利用はパレードだけではない。安倍首相やその取り巻きの極右勢力は今回の一連の即位関連イベントを、完全に戦前回帰、国民に対するナショナリズム・全体主義の強化に利用している。
その典型が、昨日、皇居前広場でおこなわれた「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」だ。
メディアでは、嵐が奉祝曲を熱唱したことや、芦田愛菜が祝辞を述べたことなどが大きく報道されているが、国民はこのイベントの主体がどういう団体なのか本当にわかっているのだろうか。
「国民祭典」の主催は「天皇陛下御即位奉祝委員会」となっているが、この奉祝委員会の設立を主導し奉祝事業を実施している組織は経団連と日本商工会議所、そして日本会議なのだ。現に、奉祝委員会の設立発起人には櫻井よしこが「言論界・女性」の代表として名を連ね、百田尚樹や高須克弥、門田隆将といったネトウヨ文化人もこぞって出席。安倍応援団による「極右」集会という様相を呈していた。
このイベントが極右集会であることは、式典の最後でもなった。天皇の「おことば」のあと、「天皇陛下御即位奉祝国会議員連盟」会長の伊吹文明・元衆院議長が万歳三唱をおこなったのだが、司会が「ありがとうございました」と締めても、伊吹氏とは違う人物が「天皇陛下、万歳」と発声。そのあとも天皇・皇后がその場を離れるあいだ、「天皇陛下、万歳」「皇后陛下、万歳」「天皇皇后両陛下、万歳」などと万歳三唱が延々と繰り返されたのだ。
しかも、恐ろしいのは、そうした極右によるナショナリズム・全体主義の強化イベントに、有名芸能人たちが全面協力し、国民にその戦前的な価値観を刷り込む役割を果たしていることだ。
「国民祭典」では、司会を俳優の谷原章介とフリーアナウンサーの有働由美子が務め、各界代表の祝辞には前述したように、「次世代を担う女優」として芦田愛菜が立ち、「新元号『令和』は万葉集からの出典だったということを知り、昔の日本の書物から新しい時代の元号がつくられるということは、なんて素敵なことなんだろうと深く感動しております。古くからわが国に伝わる文化を大切にしつつ、新しい日本へと躍進していく、そんな時代になっていくことを切に願っております」とスピーチ。ネット上では「15歳とは思えない」「さすが芦田プロ」などと称賛の声があふれた。