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『潜入ルポamazon帝国』著者・横田増生インタビュー

ユニクロに潜入したあのジャーナリストが「amazon」に潜入! 秒単位で管理される労働現場と秘密主義の恐怖

──アマゾンは秘密主義だけではなく世界的に租税回避に死力を尽くしてきた企業だということも『潜入ルポamazon帝国』に書かれています。

横田 そうですね。租税回避が今の巨大国際企業・アマゾンを作ったと言っても過言ではありません。アメリカ発祥のアマゾンは、当初、税金がかからないという理由で先住民居留地に本社を置こうとしたほどです。日本でもアマゾンが決算報告をしたのは2014年12月期の一回だけ。しかも日本での8700億円の売り上げがあるにもかかわらず法人税は10億8000万円に過ぎない。こうしたアマゾンの租税回避について、アメリカやヨーロッパではマスコミや世間からも厳しい目が向けられ、政治家も動いて法律を変えるなどの対策をとってきました。しかし日本ではそうした動きが鈍い。政治家もマスコミもだれも文句をいわない。2014年と15年に自民党の三原じゅん子議員が国会で追及しましたが、国税庁は「個別の事項については答えられない」と木で鼻を括ったような答弁で終わってしまい、その後は問題提起すらほとんどない。本当に不思議でならない。文句を言っているのは私だけ。まあ私が何かいってもアマゾンにとって痛くも痒くもないでしょうけど(笑)。

──物流センターへの潜入、社員の内部告発、アマゾンの海外での事情、ベゾスの人となりや租税回避など、今回の作品はアマゾンを多角的に見たものです。読んでみると、恐怖すら感じました。私たちの生活にアマゾンが必要不可欠になり、どんどん侵食、支配されていくようにも感じて。最後に横田さんが感じたアマゾンの最大の問題点はなんだったのでしょう。

横田 やはり労働問題は大きいですね。公表されてないので想像するしかないのですが、物流センターを含めると数万人も雇用していると思うんです。そこで死者も出ているのに公表されない。労働基準局が入ったという話も聞かない。ユニクロも雇用にいろいろ問題はありましたが、しかしアマゾンは比べものになりません。ユニクロがろくでなしなら、アマゾンはひとでなしでした。アルゴリズム原理主義で、人間の感情など一切関係ない。そうした労働環境でうつ病などになれば、即外される。アマゾンの現場はそんな場所でした。徹底した秘密主義で、アマゾンの主力事業のひとつマーケットプレイスでも出品者が理由も明かされることなく外される事態も起こっています。実際、今回アマゾンに取材をしようと思いましたが、取材交渉さえできなかった。消費者も同じです。何か問題が起きてクレームがあるときにどこに電話していいのかさえわからない。問題に対応しない不気味さというか。しかし日本の消費者はこうした様々なアマゾンの実態について疑問や問題意識を持っていません。ですから『潜入ルポamazon帝国』を是非読んで、ぜひ問題意識を持つきっかけにしてもらえ得たら、と思っています。

最終更新:2019.10.01 11:34

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