G20閉幕後の6月30日夜、安倍首相はドワンゴとYahoo!が共催したネット党首討論に参加したが、そこでも安倍首相は選択的夫婦別姓について、「経済成長とは関わりがない」と言い放ったからだ。
この党首討論では、立憲民主党・枝野幸男代表が“夫婦別姓が認められていないことが女性の社会参画を妨害する大きな要因になっている”と指摘し、「選択的夫婦別姓は女性の社会参画のために不可欠だと思いますが、安倍総裁のご意見を伺いたい」と回答を求めたのだが、安倍首相はこう答えた。
「あのー、社会参画のために不可欠だというふうにおっしゃったんですが、この6年間で、女性、働き始めた女性、250万人働きはじめました。いまや25歳以上のすべての世代でですね、女性の就業率はあのアメリカを上回っております。そして男女間の、収入の格差も一番短く、小さくなってきています。いわば、夫婦別姓の問題ではなくて、しっかりと経済を成長させ、みんなが活躍できる社会をつくっていくことではないかと思っています」
夫婦別姓に対する意見を聞かれているのに、経済成長の話……。しかも、まるで女性の社会進出が進んで男女の待遇格差も改善されているかのような言い草だが、実際には、女性の非正規労働者の数は男性の倍以上で、男女の賃金格差も男性を100とした場合、女性は73.4(平成29年「賃金構造基本統計調査」)。これは先進国で最低レベルの数字だ。
自慢どころか猛省すべき現状を得意気にひけらかし、夫婦別姓について自身の考えを明らかにしない安倍首相。これには司会の夏野剛・ドワンゴ代表取締役も「いまのご返答は『選択的夫婦別姓はいらない』というご返答でよろしいでしょうか」と尋ねたのだが、安倍首相はこのように述べた。
「いわば経済成長とは関わりがないというふうに考えています」
夫婦別姓が経済成長と関わりがない、って、安倍首相は経済成長に直接関係する政策以外は政策とは思っていないらしい。だったら、あんたの大好きな憲法改正だって経済成長と関わりはないだろう、と言いたくなるではないか。
いずれにしても、夫婦別姓という女性の権利にかかわる問題を、安倍首相は“経済成長とは関係ない”と、ただ切り捨てたのだ。