しかも、この記事では、安倍官邸の異常さを物語る、こんな舞台裏まで明かされていた。
〈金融庁は当初、報告書の書き換えを申し出ていた。政権内には「『受け取らない』ではなく、『受け入れられない』でいいのでは」との意見もあった。
だが、官邸側は「初期消火に失敗したら建物ごと燃やすしかない」とし、問題に「ふた」をする判断をした。受け取り拒否を受け、自民党の森山裕国会対策委員長は「報告書そのものがなくなった」と強調。国会論戦を避け、参院選の争点外しを図った。〉
「建物ごと燃やせ」──。これは森友問題における「都合の悪い記述は改ざんすればいい」という態度とまったく同じ、不都合な事実はなかったことにするという、立派な隠蔽指示ではないか。
そして、この号令の結果、安倍政権は「報告書を受け取らない」「報告書はもうない」という姿勢に転換。18日には、野党からの質問主意書に「報告書を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい」とする答弁書を閣議決定したのである。国民に不安が広がり、大きな問題となっているのに、「その話には答えない」などと堂々と閣議決定するような政権が、かつてあっただろうか。
まさに安倍政権は首相の号令のもと「建物ごと燃やす」という作戦に出た。しかし、都合の悪いことを「建物ごと」燃やされつづけて、そのあと私たち国民に残るのは一面の焼け野原だ。
「年金だけでは暮らせていけないことはわかっていたし」などと諦観するのではなく、いま真剣に制度自体を見直さなければ、国民は焼け野原に裸同然で放り出されることになってしまう。昨日、安倍首相が晒した安倍首相の無責任な姿を確認して、いま一度、それでいいのかと考えてみてほしい。
(編集部)
最終更新:2019.06.20 01:14