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渡辺謙が語った『ゴジラ』出演と震災、原発、そして日本の戦争映画批判…「日本人は過去と向き合うのが下手だ」

 いや、震災や原発事故だけではない。渡辺は、この数年、憲法や戦争、平和についても積極的に発言するようになった。2015年、安倍政権が安保法制を強行しようとしていた時は、ツイッターで〈一人も兵士が戦死しないで70年を過ごしてきたこの国。どんな経緯で出来た憲法であれ僕は世界に誇れると思う、戦争はしないんだと!複雑で利害が異なる隣国とも、ポケットに忍ばせた拳や石ころよりも最大の抑止力は友人であることだと思う。その為に僕は世界に友人を増やしたい。絵空事と笑われても。〉(2015年8月1日)と護憲姿勢を鮮明にしたし、2016年10月、核兵器禁止条約に、日本が反対したときにはツイッターでこう批判していた。

〈核兵器禁止条約に日本が「反対」という信じられないニュースが流れました。いったいどうやってこの地球から無用な兵器を無くしていくつもりなのか? 核を持つ国に追従するだけで意見は無いのか。原爆だけでなく原発でも核の恐ろしさを体験したこの国はどこへ行こうとしているのか、何を発信したいのか〉

 そして、6月2日朝日新聞デジタルのインタビューでは、「日本人は過去を検証して向き合うのが下手だ」として、日本映画で登場人物の大半が戦争をイヤだと考えているという設定になっていることに違和感を表明。「当時は大半の人が『戦争をやれ』と言っていたのではないか。原発もそうだ。そういう歴史を、ぼくらはちゃんと受け止めて、再びそういう流れになったときに食い止められるかが重要」と強調していたという。

 政権批判につながるテーマやネトウヨの反発を買うような内容になると、一切口をつぐんでしまう日本の多くの芸能人とは対照的だが、こうした渡辺の骨太な姿勢は、やはり、俳優が政治的な問題にもきちんとコミットするハリウッドで仕事をしていることが大きいのだろう。

 たとえば、トランプ大統領の人種差別的な政策や発言に対しては、ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、サミュエル・L・ジャクソン、リチャード・ギア、ドン・チードル、クリス・エヴァンスなど、多くの俳優が直接的な言葉で徹底的に批判している。こうした発言で社会に影響を与えることも自分たちの仕事であると自覚しているハリウッドの俳優たちに、渡辺は強い影響を受けたのではないか。

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