トランプへの抗議活動を報じるイギリスBBC(BBC Newsより)
5月末のトランプ米大統領の来日で、安倍首相はこれでもかと媚びへつらいの接待を展開、それに引きずられた日本のメディアもバカ騒ぎしたことは記憶に新しい。ところが海外に目を向けてみると、トランプは安倍政権の日本とは180度逆の“手痛いおもてなし”を受けていた。
3日、トランプ大統領は初めてイギリスを国賓として訪問したのだが、そこで待ち受けていたのは、英国市民の痛快なブーイングだった。4日にはロンドンで一日中、トランプの政策や差別主義や批判する大規模なデモが発生。トラファルガー広場は無数の市民で埋め尽くされ、「くそったれ!」「帰れ!」の怒号が響き渡った。「DONALD TRUMP IS NO GOOD」「NO TO RASISM/NO TO TRUMP」「STOP TRUMP’S NUCLEAR ARMS RACE」「LIAR!」などと思い思いのプラカードを掲げた老若男女。報道によれば、参加者は実に25万人に達したという。
しかも面白いのが、盛大なデモのなかに徹底してトランプを皮肉るユーモアが見られたことだ。トラファルガー広場にトランプを“大きな赤ちゃん”に喩えたおむつ姿の風船人形(トランプ・ベイビー)が揚げられた。トランプ・ベイビーはトランプの訪英に抗議するためクラウドファウンディングで作られたもので、「ニューズウィーク」(電子版)によれば、市立のロンドン博物館はこれをコレクションの一部に加えたいとしているという。他にも、全長約5メートルの黄金の便器に座ったトランプ人形も登場。「お前はフェイクニュースだ」「俺は天才だ」としゃべる機能つきだ。
なかにはコスプレで主張する人も。たとえば、トランプのお面と大統領選でのトレードマーク・赤いキャップを身につけ、体にはゴリラの着ぐるみをまとった参加者は、なぜか自ら用意したと思われる檻の中に入っていた。檻には「DO NOT FEED THE GORILLA. HE ONLY EATS CHLORINATED CHICKEN」(このゴリラにエサを与えないでください。食べるのは消毒されたチキンだけ)。これはトランプに対する批判だけでなく、親トランプ的な英国や諸外国首脳への皮肉を込めたジョークだろう。
Twitterでもアイロニックに批判する投稿が相次いだ。「エリザベス女王と面会時のトランプの燕尾服がヘンだ」と指摘する投稿がバズり、多数のユーザーによるコラージュが相次いだ。蝶ネクタイを巨大化させてみたり、トランプお気に入りの妙に長い赤ネクタイにかえてみたり、はては白シャツ部分とトランプの頭部を男性器に見立てるなどして、徹底的にトランプをこきおろした。