もしギャラを受け取っており“闇営業”という認識があったとするなら、所属事務所を通して正式にオファーしない時点で、詐欺グループとはわからなかったとしても何かしら怪しい組織であることくらいは、薄々わかるだろう。また、宮迫らがそのギャラに関して税務申告などをどう処理したのか、場合によっては脱税問題にも発展する可能性のある問題だ。
こうした問題をテレビ各局が追及することなく、吉本側の出来の悪すぎる言い分に丸乗りしている背景には、言うまでもなく吉本興業がテレビ局に大きな影響力を持つ大手芸能事務所だということがある。それは単に明石家さんま、松本人志など数多くの人気芸人を擁しているからというだけではない。いまや民放各局が吉本の株主になっていることも大きいだろう。
しかもタチが悪いのは、本来こうした問題を追及すべきワイドショーや情報番組のMCやコメンテーターに、吉本芸人を大量に送り込んでいることだ。お仲間の芸人たちは互いのスキャンダルや不祥事を“笑い”を隠れ蓑にしてかばい合う傾向にあり、吉本に都合の悪い情報は封印されてしまう構造になっている。
実際、昨日この問題を取り上げたワイドショーは、目も当てられない報道ぶりを展開していた。なかでも象徴的だったのが、忘年会に出席していた宮迫の存在がほとんどクローズアップされていなかったことだ。
そもそもこの問題をスクープした「フライデー」の記事タイトルは「宮迫博之ほか吉本興業人気芸人が犯罪集団に闇営業」で、入江よりも売れっこ芸人である宮迫のほうを大きくクローズアップしたものだった。記事も冒頭から、宮迫が2014年12月の詐欺グループの忘年会で歌を歌うシーンに始まり、直撃取材をされたのも入江ではなく宮迫。そして、そのときの宮迫の凍りついた顔の写真が大きく掲載されている。
しかし、ワイドショーは宮迫をクローズアップするどころか、まるで触れたくないようにほぼスルー。また、問題の忘年会で宮迫が熱唱する動画もFRIDAYデジタルで公開されており、いつもならこうした動画をしつこいくらい繰り返し放送するワイドショーも、『直撃LIVEグッディ!』(フジテレビ)が流したくらいで、多くの番組は扱わなかった。
また、ワイドショーではさかんに入江が“詐欺グループだと知っていたか否か”を話題にしていたが、しかし「知っていて先輩たちを連れて行くはずがない」「忘年会ということで軽い気持ちで出席したのではないか」などと入江を擁護する姿勢を見せた。これも単に入江をかばうというより、おそらくは宮迫やロンブー亮などの存在を意識したものだろう。「入江が反社会的勢力だと知らなかったのだから、当然、宮迫や田村も知っているはずがない」という言い訳が成り立つからだ。しかも、宮迫らの「ギャラをもらっていない」などというあり得ない釈明にも何の疑問も呈さず、丸乗りしていた。