さらに、古舘は「人が殺される。こんなことが起きるって我々は考えるけれども、遠くの国で女性や子どもさんが誤爆によって戦争で亡くなっているということに対して鈍感じゃないかって考え方まで、ずーっと引き延ばしていかなくてはいけないのかな。人は人を殺すじゃないですか。こっちはあんまり気に止めないで、こっちは大変だって言っているのも、変だなって思う気持ち、立ち止まりも必要かな。絶対起きちゃいけないことが起きているから」とも語っていた。
つまり、古舘はセンセーショナルな殺人事件にだけ騒ぎ立てるのではなく、戦争で女性や子供が犠牲になっていることにも、同じように危機感と違和感を抱くべきだと指摘したのだ。
『報道ステーション』降板後バラエティ出演の多かった古舘だが、久々に『報ステ』時代を彷彿とさせるジャーナリスティックな視点を見せてくれたといっていいだろう。
そして、重要なのは、古舘の活躍によって容疑者をモンスター扱いし、憎悪を扇動するワイドショーで、凶悪な犯罪を防ぐためには「支援」や「支え合い」こそが必要だということが、議論されたことだ。
実際、これは「きれいごと」などではない。29日に川崎市が行った会見のなかで、岩崎容疑者の親族が一昨年の秋から今年1月にかけ14回にわたって川崎市健康福祉局精神保健センターに相談していたことが明らかになった。社会による効果的なサポートがあればこの事件は防ぐことができたかもしれないのだ。
マスコミやネットのなかで、今回の『ゴゴスマ』のような議論が少しでも増えることを願ってやまない。
(編集部)
最終更新:2019.05.30 10:33