たとえば、昨日放送の『NHKニュース7』では、“安倍首相にもっとも近い記者”のひとりとしておなじみの岩田明子記者が解説者として登場。このトランプ大統領のツイートについて、こんなことを言い出したのだ。
「日本政府は夏の参院選挙への影響も配慮して、今回の首脳会談では交渉加速することの確認に留めたいという考えでしたので、今回の大統領の発信は、まあ、狙い通りとも言えます」
開いた口が塞がらないとはまさにこのことだが、ようするに岩田記者は、安倍首相による妥結を参院選後にまで引き延ばすという国民に対する詐欺的行為にトランプ大統領が応じたことを、「狙い通り」だと評価してみせたのである。
もはや安倍首相が乗り移っているとしか思えない発言だが、じつはもうひとり、安倍首相を憑依させた人物がいる。政治ジャーナリストの田崎史郎氏だ。
田崎氏はきょう放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも「安倍首相と電話で話した」などと語りながら安倍首相の外交を褒めそやしたが、耳を疑うようなことを口走ったのは、『めざましテレビ』(フジテレビ)でのこと。田崎氏は今回のゴルフ外交を「成功だったと思います」と称賛すると、こう述べたのだ。
「(安倍首相は)参院選への懸念材料を一つ先送りにすることができたと。国内政治的には大きな意味を持つことになると思います」
参院選後に関税引き下げを先送りにしたことを「成功」と評価する……。国民目線に立てば、国益を売り渡す妥結を選挙後に引き延ばすことは「ひどい騙し討ち」であり、国民への背信行為だが、それを「成功」と呼べるのは、完全に安倍首相目線に立っていることの証明ではないか。
公共放送の記者や政治ジャーナリストを自認する人物が安倍首相と同一化し、日本の国益でなく、安倍首相の利益になるかどうかの視点でおこなう解説が平気で公共の電波で垂れ流される。その異常なメディア状況があらためて浮き彫りになっている。