ようするに、これはネトウヨ人気が高い杉田議員を“復活”させるための、安倍自民党によるPR番組ということではないか。
このように菅官房長官に杉田議員と、立てつづけに安倍政権PRを垂れ流したAbemaTV。しかもタチが悪いのは、こうした政権PRを、AbemaTVの関連会社であるテレビ朝日も「ニュース」として放送していることだ。
たとえば、杉田議員とLGBT当事者たちとの対談の模様は、4月27日の『スーパーJチャンネル』が「独自「自民党に物申す」当事者が 炎上の議員「ごめんなさい」」とテロップを打ち、ニュースのひとつとして紹介。菅官房長官の単独インタビューについても、4月30日の正午前に放送された『ANN NEWS』内で「菅官房長官に単独インタビュー 「令和」受け入れられ ほっと」と題して伝えられた。
インターネット放送局のAbemaTVは放送法が適用されない。事実、AbemaTV は2017年の総選挙公示日2日前、見城社長がホストを務めている番組『徹の部屋』に安倍首相が生出演。安倍首相が思う存分、持論を展開し、見城社長も「日本の国は安倍さんじゃなきゃダメだ」「(独裁と呼ばれるのは)あまりにも実行力がありすぎるからだよ」「すごくハンサムですよ。内面が滲み出ているお顔ですよ」などと歯が浮くようなヨイショ発言を連発した“接待放送”を繰り広げた前例もある。
総選挙公示直前に総理大臣が無批判のまま主張を繰り広げるなど、政治的公平性が求められる放送法が適用される民放の地上波では絶対にあり得ない。だが、それがAbemaTVならば可能なのである。だからこそ、安倍政権はAbemaTVを利用してPRを垂れ流させているのだ。
そして、これはテレ朝も共犯だ。実際、菅官房長官の単独インタビューはANNの取材であり、インタビュアーはテレ朝の政治部長だった。杉田・稲田議員の番組も、取材をおこなったのはテレ朝政治部で与党担当の延増惇記者だ。
つまり、テレ朝が政権や自民党幹部のPRをニュースとして扱い、放送法適用外のAbemaTVで完全版を放送する──。これはいわば「放送法ロンダリング」ではないか。
テレ朝ではいま、『報道ステーション』から政権批判が薄れ、『大下容子ワイド!スクランブル』ではネトウヨ思考を隠さない小松靖アナのもと、政権擁護と反韓感情の煽動が繰り広げられ、『スーパーJチャンネル』でも政権に批判的だったコメンテーター大谷昭宏が降板になり「令和」発表時は安倍首相を生出演させるなど、安倍政権への忖度がますます露骨になってきている。そして、AbemaTVと展開する政権PR……。今後もこうした報道には注意を向けていく必要があるだろう。
(編集部)
最終更新:2019.05.04 08:24